木星で今世紀最大の巨大閃光現象を観測

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2021年10月に小型観測システム「PONCOTS」で観測された木星の巨大閃光現象の解析から、この現象が過去約30年間に太陽系内で観測された火球の中で最大規模のものであったことが判明した。

【2022年9月16日 京都大学

2021年10月15日、京都大学の有松亘さんたち中心とする観測チームが、小型観測システム「PONCOTS」によって木星の巨大閃光現象を観測した(参照:「史上9例目、木星表面の衝突閃光をとらえた」)。木星の閃光現象は極めて短い時間しか発生しない稀な現象のため、「狙って」撮影することは極めて難しく、これまでの現象はアマチュア天文家の観測中に偶然とらえられたものだった。専用の観測装置によって詳細な観測がされたのは、今回が初の成功例となる。

木星衝突閃光
(左)PONCOTSシステムによってとらえられた、2021年10月15日の木星衝突閃光(擬似カラー)。中央やや右上に閃光現象が写っている。(右)記者会見で披露されたPONCOTSシステム機材(手前)とプロジェクトメンバー。左から有松さん、津村耕司さん(タブレット画面中)、渡部潤一さん(提供:有松亘(京都大学))

観測に使用されたPONCOTSシステムは、木星の閃光現象の検出を目的として開発された装置だ。セレストロン社製のC11鏡筒やCMOSカメラなど民生品を使用していることも大きな特徴である。2021年9月上旬から京都大学吉田キャンパスの屋上にてモニタ観測が行われており、観測開始からわずか1か月ほどでの快挙達成となった。

PONCOTSが閃光を捉えた瞬間の動画(提供:有松亘(京都大学))

観測動画を解析した結果、今回観測された火球の衝突エネルギーは1994年以降に地球を含む惑星表面で観測された火球のなかで最大であったことが判明した。これまで観測例のなかった巨大火球の特徴を示しており、地球への小天体衝突のリスクを紐解くうえで礎となるデータとなることが期待される。また、今回の結果から、太陽系外縁部から飛来して木星に衝突していると推定される小天体が豊富に存在することも示唆される。

「今後も継続して観測することで、木星表面にどの程度の頻度で小天体が衝突しているのかについて、より正確に知ることができると期待されます。木星衝突閃光の研究は、今回のPONCOTSの発見によって全く新しい段階に到達したと言えるでしょう」(有松さん)。

星ナビ2022年11月号で、有松さんによる解説記事を掲載する。

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