上田さん、ヘルクレス座に明るい新星を発見

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北海道の上田清二さんが6月12日、ヘルクレス座に新星を発見した。6等級に急増光している。

【2021年6月14日 VSOLJニュース

著者:前原裕之さん(国立天文台)

6月12日、ヘルクレス座の中に明るい新星が発見されました。発見したのは北海道釧路市の上田清二さんです。

上田さんは6月12.537日(世界時、以下同。日本時では22時10分ごろ)に、焦点距離200mmのレンズとデジタルカメラを用いて撮影した画像から、ヘルクレス座の中に8.4等の新天体を発見しました。この天体は発見した上田さん自身によって16cm望遠鏡で確認された他、山形県の板垣公一さんや北海道の佐野康男さん他多数の観測者によっても確認観測が行われ、12.6-12.7日には6等級にまで急速に明るくなったことがわかりました。この天体の正確な位置は以下のとおりです。

赤経  18h57m30.95s
赤緯 +16°53′39.6″(2000年分点)

確認画像
確認画像(撮影:清田誠一郎さん)

ヘルクレス座の新星の位置
ヘルクレス座の新星の位置。円内の数字は周囲の星の等級(40は4.0等級の意味)。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

天体の分光観測はイタリアのグループによって口径0.84mと1.22mの望遠鏡を用いて6月12.84-85日に行われ、スペクトルに秒速3000kmほど青方偏移した幅の広い水素のバルマー系列および中性ヘリウムの吸収線が見られること、Hα線に弱い輝線成分も見られることがわかりました。青方偏移した吸収線はP Cygプロファイルによるものと考えられ、このようなスペクトルの特徴などから、この天体は新星爆発によって放出された物質の膨張速度が大きな古典新星であることが確認されました。

この新星のような膨張速度の大きな新星は急速に暗くなる性質があることが知られています。今後の明るさの変化やそれに伴なうスペクトルの変化が注目されます。

上田さんの新星発見は昨年11月のペルセウス座新星以来です。