MAXIが見つめ続けた、今世紀最大級の明るさのX線新星

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国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟に設置されているX線監視装置「MAXI」が、2017年9月に発見したX線新星の変光の様子を200日にわたって観測し、中心天体がブラックホールであることを強く示すデータなどを取得した。

【2018年9月20日 JAXA

2017年9月2日、国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟に設置されているX線監視装置「MAXI」によって、じょうぎ座のX線新星「MAXI J1535-571」(以下J1535)が発見された。

理化学研究所の中平聡志さん、愛媛大学の志達めぐみさんたちの研究チームは、このX線新星の明るさがピークに達し、徐々に暗くなる様子を、200日以上にわたりMAXIで観測した。

J1535の当初の明るさは、かに星雲の3%(30mCrab(ミリクラブ))程度だったが、次第に増光し、16日後には100倍以上(5Crab(クラブ))まで明るくなった。これはX線新星としては今世紀最大で、観測史上7番目の明るさである。

2017年9月18日のMAXIによる全天X線画像
J1535が最大光度に達した2017年9月18日のMAXIによる全天X線画像(提供:JAXA/RIKEN/MAXI-Team)

また、明るさだけでなくX線のエネルギースペクトルも大きく変化し、低エネルギーX線(2~8keV(キロ電子ボルト))と高エネルギーX線(8~20keV)の間の比は、20倍以上も変化した。

J1535のX線エネルギーと色の変化
(上)J1535のX線エネルギーの変化、(下)X線の色の変化(提供:JAXA MAXI サイエンスニュースより)

中平さんたちは、このX線エネルギースペクトルをもとに、J1535を取りまく降着円盤と高温コロナについて温度や構造を詳しく調べた。その結果、円盤内縁の温度が1keVから0.5keVまで減少したのに対して、内縁の半径は一定だったことが示された。これは、J1535の中心にブラックホールが存在しており、その質量に比例する半径で降着円盤の構造が途切れているためと考えられ、J1535がブラックホールである可能性を強く示唆している。

大きな注目を浴びたJ1535は、世界中の研究者によって追加観測が行われ、今年7月にも再増光が報告されている。こうした観測データの分析や理解に先立ち、MAXIのデータを用いてJ1535の全体像を示した本研究は、非常に有用な成果となった。

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