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ペルセウス座流星群(2016年)

夏の定番天文現象「ペルセウス座流星群」。毎年8月13日ごろに多くの流れ星が見られます。

今年は、12日深夜から13日未明が一番の見ごろです。北東の空を中心に、全天あちこちに流れ星が飛びます。

安全やマナーに気をつけて、ぜひ夜空を見上げてみましょう。

一番の見ごろは12日深夜から13日未明

2016年のペルセウス座流星群の流れ星が最も多く流れる「極大時刻」は、8月12日午後9時ごろと予想されています。

しかし、この時間帯には上弦過ぎの明るい半月が南西の空にあるため、その月明かりの影響で流れ星が見えにくくなってしまいます。

また、流星群の流れ星は放射点(→ 解説)の高度が高いほどたくさん見えますが(飛ぶ流れ星の数が同じと仮定した場合)、午後9時ではまだ放射点が低いため、目にできる流れ星の数はやはりあまり多くありません。

そこで、極大時刻のころよりも、月明かりの影響がなくなり放射点が高くなってから、つまり12日深夜から13日未明にかけてが、一番の見ごろということになります。

13日深夜0時から明け方4時まで、空全体に流れ星が飛ぶ様子。場所の設定は東京(ステラナビゲータでシミュレーション)。

他の動画は ›› アストロアーツYouTubeチャンネル [YouTube]

見える数の予想

町明かりが少なく空の条件が良いところであれば、13日未明ごろには1時間あたり30〜50個ほどの流れ星が見えると予想されています。町明かりがある郊外では10個程度、明るい市街地では数個ほどと数が減ってしまいます。

その前後の日や異なる時間帯の場合、見える流れ星の数はさらに減ってしまいますが、それでも普段の(活発な流星群のない)時と比べれば流れ星を目にできる可能性が高い時期です。夜更かししたり出かけたりできないという方も、あきらめずに空を見上げてみてください。

参考リンク

観察のポイント

全天を広く見渡そう

流星群の流れ星は放射点を中心として四方八方に飛んできますが、いくつもの流れ星の流れた跡をたどっていくと放射点で交わるのであって、実際には空のいたるところに流れます。したがって、放射点のある北東の方向だけをじっと見つめるのではなく、空を広く見渡すのがポイントです。広場や校庭、河川敷など、視界の開けたところがよいでしょう。

住宅地や自宅ベランダなど視界があまり開けていないところでは、町明かりの影響を避けるために街灯がない方向や天頂方向を眺めれば、流れ星が見つけやすくなります。同様に、月が出ている時間帯に観察する場合には、月から離れた方向を中心に眺めるようにしましょう。

13日深夜0時から明け方4時まで、北東の空を眺めた様子。場所の設定は東京。放射点を中心に四方八方に流れ星が飛ぶ(ステラナビゲータでシミュレーション)。

13日未明2時に、東→北→西→南→東の空を眺めた様子。場所の設定は東京。見る方向によって流れ星の見え方(角度や長さの傾向)が変わる(ステラナビゲータでシミュレーション)。

ステラナビゲータで見え方をシミュレーション

天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」を使うと、流れ星が飛ぶ様子や周りの星座の見え方、撮影の構図などを調べられます。

ステラナビゲータ活用法はこちら ›› 「ステラナビゲータでペルセウス座流星群をシミュレーション」
(2015年の例ですが、2016年にも応用できます)

「ステラナビゲータ」でペルセウス座流星群をシミュレーション

7月23日に撮影講習会

7月23日(土)に東京・池袋で「流星撮影入門〜この夏のペルセウス座流星群を写してみよう〜」講習会を開催。レポート記事はこちら

天文講習会「流星撮影入門」レポート

15分くらいは見続けてみよう

1時間に30個の流れ星が見えるとすると、計算上は平均して2分に1個のペースで見えることになりますが、流れ方はランダムですので、立て続けに数個見えることもあれば5分以上も見えないことも珍しくありません。1つも見えないからと数分で諦めるのではなく、少なくとも15分くらいは見上げてみましょう。

長く見ていると目が暗いところに慣れるため、暗めの流れ星にも気づきやすくなります。

この時期、未明のころの西の空には「夏の大三角」、天頂付近には「秋の四辺形」、北から東の空には「カシオペヤ座」や「プレアデス星団(すばる)」などが見えています。ゆったりと星座や星を楽しみながら、流れ星が飛ぶのを待つことをおすすめします。

モバイルアプリで星座探し

流れ星を待つ間は、星座探しをしてみましょう。iOS用の「iステラ」「iステラ HD」やアンドロイド用「スマートステラ」などのモバイルアプリを使えば、星や星座の名前がすぐにわかります。

※まぶしくないように、画面の明るさを調整しておくとよいでしょう。

他の製品は ›› モバイル製品情報

モバイル製品情報

そのほかのポイント

  • 流れ星を観察するために長時間夜空を見上げ続けていると首が痛くなります。アウトドア用のチェアやベッドがあればベストですが、グラウンドシートに寝転がって見るのも快適です
  • 観察場所によっては蚊の襲来に悩まされることがあります。虫除けを用意しましょう
  • 大騒ぎしない、車や足元に注意する、子供だけで行動しないなど、マナーや安全にもじゅうぶん気をつけましょう

ソラリラ(星空ベッド)

ベッドに寝転んで観察すれば楽に広い範囲を見渡せます
(画像はビクセン「ソラリラII(星座観察ベッド)」)

観察や撮影にあると便利なグッズ

□
ソラリラII

折りたたみ式の星空ベッド。楽な姿勢で空を眺められます

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折りたたみ
星座クッション

座って星空を眺めるときに便利なクッション

デジタル一眼レフやミラーレス一眼で流星撮影にチャレンジ。「ポラリエ」や「NEW ナノ・トラッカー」も

カメラレンズの結露を防止する電熱線式ヒーター。ハイパワー版の「EH」や、DC 12V電源対応の「LL」

流れ星が見えるしくみ

ペルセウス座流星群とは

一年のうちある決まった時期に、星空の中のある点の付近を中心として流れ星が飛ぶ現象が流星群です。流星群は現在100個近くが知られていますが、ペルセウス座流星群はしぶんぎ座流星群(1月4日ごろ)、ふたご座流星群(12月15日ごろ)とともに「三大流星群」の一つとして数えられる、活動が活発な流星群です。

ペルセウス座流星群は、毎年8月13日前後に多くの流れ星が飛びます。安定した活動を見せてくれ、ほとんど期待を裏切ることがありません。

放射点

流星群の流れ星は、天球上のある点の付近を中心として四方八方に放射状に流れるように見えます。この点を「放射点」と呼びます。流星群の名前は放射点のある(または放射点の近くの)星座や恒星の名称が付けられます。ペルセウス座流星群の場合はペルセウス座のあたりに放射点があるので、この名前で呼ばれています。

夜空に鮮やかな光跡を残す流れ星

夜空に鮮やかな光跡を残すペルセウス座流星群の流れ星。クリックで拡大

実は平行に降る、流星群の流れ星

流れ星(流星)は、宇宙空間に散らばっている小さな塵(流星物質)が地球の大気圏に飛び込んで大気中の原子や分子と衝突し、上空100km前後でプラズマ発光する現象です。

平行に降る流れ星

平行に降る流れ星。クリックで拡大

地球が塵の集まりとぶつかると、流星群の流れ星は雨のように平行に降ります。平行に飛び込んでくる流れ星が放射点を中心として放射状に流れるように見えるのは、一直線の道路の両端が遠方の一点から伸びてきているように見えるのと同じ理由です。

流れ星の見かけの動きは、放射点付近では経路が短く、放射点から離れるほど経路が長く見えます。とくに放射点では、流れ星は観察者に向かってくるように見えます。

流れ星の実際の動きと見かけの動き

流れ星の実際の動きと見かけの動き。クリックで拡大

ペルセウス座流星群の起源

塵を放出して流星群の原因となる天体を母天体と呼びます。この母天体の軌道と地球の軌道が交差していると、毎年決まった時期に地球がそこを通る際に、塵の集まりと地球がぶつかることになります。したがって、毎年同じころに同じ方向から飛んでくる流れ星が見られることになるのです。

ペルセウス座流星群の母天体は、約135年周期で太陽系を巡っているスイフト・タットル彗星(109P)です。現在スイフト・タットル彗星は地球から遠く離れたところにありますが、彗星から放出された塵は彗星の軌道上に広がって分布しており、彗星と同じ軌道を運動しているので、ペルセウス座流星群の流れ星は彗星の位置に関わらず見られます。

流星群と彗星の関係

流星群と彗星の関係。クリックで拡大