衛星「ダフニス」が波立たせる土星の環の隙間

このエントリーをはてなブックマークに追加
探査機「カッシーニ」が土星の環の隙間の一つ「キーラーの空隙」をクローズアップでとらえた。縁が乱れているのは衛星「ダフニス」の重力の影響によるものだ。

【2017年6月2日 NASA

土星探査機「カッシーニ」は、13年に及ぶ探査の最終ミッション「グランドフィナーレ」を今年4月末から実施中だ。その軌道に入る前の今年1月16日にカッシーニがとらえた、土星の環の外端近くの画像が公開された。

黒い帯状の部分は、土星の環の中にある「キーラーの間隙(空隙)」と呼ばれる約40kmほどの隙間だ。土星の環は細いリングが何重にも同心円状に広がってできており、いくつかの部分に分かれている。小さい天体望遠鏡でも見える明るい環のうち一番外側にあるのが、約1万4600kmの幅を持つA環で、キーラーの間隙はA環の外端から250kmほど内側にある。

キーラーの間隙
キーラーの間隙。解像度は1ピクセルあたり177m(提供:NASA/JPL-Caltech/ Space Science Institute、以下同)

画像には、キーラーの間隙の縁が波立っている様子がとらえられている。間隙の中に存在する直径8kmほどの小さな衛星「ダフニス」の重力の影響で作られたものだ。乱れた縁の部分には、まとまった環の粒子も見られる。

ダフニスとキーラーの間隙にできた波
ダフニス(右端)とキーラーの間隙にできた波

〈参照〉

〈関連リンク〉