天の川銀河で最もミステリアスな星の、さらなる妙なふるまい

このエントリーをはてなブックマークに追加
はくちょう座の恒星「KIC 8462852」は、非常に短い間に非周期的な減光が見られるなど謎めいたふるまいで私たちを驚かせ続けている。この星に関する最新の研究結果は、その謎をさらに深めるものとなった。

【2016年10月5日 カーネギー研究所

系外惑星探査衛星「ケプラー」の観測で、はくちょう座の方向1500光年彼方にある恒星「KIC 8462852」が立て続けに短い間暗くなるという現象がとらえられた。昨年発表されたこの現象の原因については不明だが、大量の彗星の群れで光が遮られたという説から、未知の大きな構造の存在を唱える説まである。一般に恒星が暗くなることは珍しい話ではないが、あまりに気まぐれなKIC 8462852の急激な減光や再増光のようすは、他の恒星では観測されたことがないものだ。

KIC 8462852の想像図
一群の彗星によって光が遮られるKIC 8462852の想像図(提供:NASA/JPL-Caltech)

米・カーネギー研究所のJosh Simonさんと米・カリフォルニア工科大学のBen MontetさんがケプラーによるKIC 8462852の観測データを詳しく調べたところ、この星は予測不能な明るさの変化を見せるだけでなく、4年間で暗くなっていたこともわかった。2009年から2012年の3年間でゆっくりと約1%減光した後、続く6か月間では急激に2%も暗くなり、その後の6か月間は明るさがほぼ変化していなかった。

KIC 8462852の明るさの変化
KIC 8462852の明るさの変化を示したグラフ。(横)年、(縦)明るさ(提供:Ben Montet)

「KIC 8462852は散発的な減光を見せている点で独特な星でしたが、奇妙な点はそれだけではなかったのです。約3年かけてゆっくり暗くなったかと思うと、突然急激に、より暗くなっていったのです」(Simonさん)。

似たような星500個以上と比較してみたところ、一部の星には最初の3年間で同様の減光が見られたが、6か月間に劇的な減光を見せたり、合計で3%も明るさが変化した星は1つもなかった。

MontetさんとSimonさんがベストと考える6か月間の劇的な減光の理由は、惑星か彗星の衝突や破壊で生じた塵や残骸でできた短命で一時的な雲が星の光をブロックしているというものだ。しかしこの説では、3年間にわたる長期的減光を説明できない。

KIC 8462852の減光に関する説明は、これまでも良いものがなかったが、最新の研究は現象の説明をさらに困難なものにする結果となった。

〈参照〉

〈関連リンク〉

関連記事