星座八十八夜 #47 馬車をあやつり天を駆ける王「ぎょしゃ座」

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子ヤギを抱いた老いた王の姿をした星座です。明るい星が多く、見つけやすい形をしているのですが、意外と知られていません。全天で一番北にある1等星のカペラが目印です。

【2023年12月12日 アストロアーツ

星座八十八夜

「スマホで楽しむ星空入門」より抜粋)

見どころ

〈ぎょしゃ座〉の目印は1等星カペラと五角形に並んだ星たちです。まず〈オリオン座〉を見つけてから、〈おうし座〉の2本の角の方向へ目を移し、その少し先のあたりを眺めてみると、自然に五角形をした星の並びがわかります。 5つの星のうち一番明るく、やや黄色く見えるのがカペラです。1月半ばの21時ごろなら、天頂付近に見つかります。また、五角形の最も南側にある星エルナトは〈ぎょしゃ座〉ではなく〈おうし座〉に属していて、牛の角を表す星になっています。

〈ぎょしゃ座〉には、M36・M37・M38という3つの明るい散開星団があります。これらの散開星団は双眼鏡で同じ視野内に見ることができます。双眼鏡を持っていたらぜひ観察に挑戦してみましょう。

ぎょしゃ座

星座の起源

3000年以上前の古代バビロニアで、このあたりに「曲剣」または「曲がった杖」とされる星座がありました。曲がった杖は羊飼いまたはヤギ飼いが持つ杖で、そのため今でも〈ぎょしゃ座〉には子ヤギが描かれているのだと考えられます。

手綱をとって馬をあやつる馭者(ぎょしゃ)のイメージは、古代ギリシアでできあがったようです。星座絵には描かれませんが、馭者が乗る車は4頭の馬が引く2輪の車だとされています。ギリシア時代からローマ時代にかけては4頭立ての馬車による競走がさかんに開催されていました。ちなみに、カペラの周りは「ヤギと子ヤギ」と呼ばれて、独立した星座に近いあつかいを受けることもありました。

日本では、その形から「五角星」「五つ星」という名前が残されています。カペラは「すまるの相手星」や「北の相方星」と呼ばれていました。すまるというのは「すばる」のことです。カペラとすばるは、ほぼ同時に北東の空から並んで昇ってくることから、このような名前がつけられたのだと考えられます。

星座の物語

ギリシア神話に登場する、鍛冶(かじ)の神ヘパイストスの血を引くアテナイの国王エリクトニウスをかたどった星座です。エリクトニウスは4頭の馬をつないだ2輪の馬車を発明し、これを戦車にして大活躍をしました。その功績で天に上げられ、〈ぎょしゃ座〉になったとされます。

一説によると、エリクトニウスは生まれつき足が悪くて歩くことができなかったので、自由に動きまわるために馬車を発明したともいわれています。

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