星座八十八夜 #25 善悪をはかる「てんびん座」

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正義の女神アストレアが、人間の善悪をはかるのに使っていた道具です。これで天国行きか地獄行きかが決まる、こわい天秤です。

【2023年9月26日 アストロアーツ

星座八十八夜

「スマホで楽しむ星空入門」より抜粋)

見どころ

〈てんびん座〉は、〈おとめ座〉のスピカと〈さそり座〉のアンタレスの間にあります。春の星座とされていますが、春と夏の境目のところにあるので、たとえば4月中旬の21時ごろの空では、東南東の低いところにあります。もっと遅い時刻にさがすか、あるいは6月ごろの方が、南の空に上るので見つけやすいでしょう。都会でも、3つの3等星(β、α、σ星)が、左右逆の「く」の字の形に並んでいるのがわかります。

てんびん座

星座の起源

このあたりの星は、もともと古代メソポタミアではお隣の〈さそり座〉のサソリの爪と見られていました。3000年前のバビロニアで星座として独立しますが、当時はここに太陽があるころに昼と夜の長さがほぼ等しい秋分をむかえたため、等しさを表すてんびんの姿が描かれたようです。

ただ、ギリシアに星座が伝わってからも、〈てんびん座〉はしばしば「サソリの爪」と呼ばれました。これがアラビアにも伝わったため、α星にはアラビア語で「南の爪」を意味する「ズベンエルゲヌビ」、β星には「北の爪」を意味する「ズベンエシャマリ」という名前がついてます。

「黄道十二星座」の一つで、9月23日~10月23日生まれの人の誕生星座です。

星座の物語

ギリシア神話では〈てんびん座〉は、正義の女神アストレアの持っていた善悪の重さをはかる天秤をかたどったものとされています。アストレアは、〈おとめ座〉のモデルの一人と考えられている女神です。

人間が初めてこの世界に現れたころ、世の中はまだ平和な「黄金の時代」でした。アストレアやほかの神様たちは、そのころは地上にいて人間とともに暮らしていました。次の「銀の時代」には少し生活が厳しくなりましたが、人間は頑張って生きていました。

ところが次の「銅の時代」になると、人間は武器を作って争うようになります。そして最後の「鉄の時代」になると、世の中が荒れ、人間の心はどんどんすさんでいきました。ほかの神様は、こんな人間を見放して天界へ帰っていきました。

アストレアは一人残って人間の相談相手となり、人間を励まし続けていましたが、人間はますます堕落していきました。さすがのアストレアも、もう私の手に負えないと、地上を去って天へ帰ってしまいました。そして〈おとめ座〉になりました。このときアストレアが使っていたてんびんも天に上り、〈おとめ座〉のすぐ隣で〈てんびん座〉になったといわれています。

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