2021年の主要なミラ型変光星の光度変化予測
【2021年1月6日 高橋進さん】
「ミラ型変光星」は、恒星の脈動によりおよそ100~500日の周期で5~10等級ほどの変光を見せる天体です。明るいものは小さな双眼鏡があれば充分に観測できますし、場合によっては肉眼でも観測可能です。そのため何か観測したいという方にはお勧めなのですが、実際には双眼鏡を向けてみたが見えなかった、という話もよく聞きます。たとえば、ミラ型変光星の代表星であるくじら座のミラの場合、極大の(一番明るい)ころは3~4等級になり肉眼でも観測可能なのですが、極小期(一番暗いころ)は9等にまで暗くなってしまい双眼鏡でも観測が難しくなります。
そこで、ミラ型変光星のうち主要な9星について、いつどれくらいの明るさになるかを予想したグラフを作成しました。これを利用して、その時期に見やすい天体をぜひ観測していただければと思います。ただし実際には1~2等級のずれが出る可能性がありますので、あくまで目安として参考にしてください。
2021年の見どころですが、まず1月にクリムズンスターとして有名な、うさぎ座R(R Lep)がおよそ6等の極大を迎えます。赤い色がとても美しい星ですので、ぜひお楽しみください。
続いて3月中旬に、はくちょう座χ(χ Cyg)が極大を迎えます。およそ4等くらいで、肉眼でも見られるでしょう。夜半過ぎに見ていただくことになりますが、はくちょう座の首が少しねじれた様子が楽しめることと思います。
6月から7月にかけては、しし座R(R Leo)・うみへび座R(R Hya)・わし座R(R Aql)がどんどん明るくなっていく様子が楽しめます。しし座R・うみへび座Rは夕空低くなっていきますが、明るくなっていく様子をご覧ください。
そして今年最大の見ものは、7月から8月にかけて、くじら座のミラ(くじら座ο、ο Cet)が明るくなっていく様子です。この期間は最大1日に0.1等くらいのペースで明るくなっていきますので、目が離せません。極大は8月末ごろの予想で、深夜から明け方に南東の空に見えます。ぜひお楽しみください。
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