2020年の主要なミラ型変光星の光度変化予測
【2020年1月29日 高橋進さん】
「ミラ型変光星」は、恒星の脈動によりおよそ100~500日の周期で5~10等級ほどの変光を見せる天体です。明るいものは小さな双眼鏡があれば充分に観測できますし、場合によっては肉眼でも観測可能です。そのため何か観測したいという方にはお勧めなのですが、実際には双眼鏡を向けてみたが見えなかった、という話もよく聞きます。たとえば、ミラ型変光星の代表星であるくじら座のミラの場合、極大の(一番明るい)ころは3~4等級になり肉眼でも観測可能なのですが、極小期(一番暗いころ)は9等にまで暗くなってしまい双眼鏡でも観測が難しくなります。
そこで、ミラ型変光星のうち主要な9星について、いつどれくらいの明るさになるかを予想したグラフを作成しました。これを利用して、その時期に見やすい天体をぜひ観測していただければと思います。ただし実際には1~2等級のずれが出る可能性がありますので、あくまで目安として参考にしてください。
ミラ型変光星の2020年の変光予想。画像クリックで表示拡大(提供:高橋さん)
2020年の見どころですが、くじら座のミラ(ο Cet)が10月に極大を迎えます。ぜひ、急激に明るくなっていくミラを9月くらいから観測していただきたいと思います。また、オリオン座(U Ori)が5月初旬に極大を迎えます。西の空に傾いてからの極大ですが、3~4月ごろにどんどんと明るくなっていきますので、ぜひお楽しみください。周期146日でミラ型としては短周期のおとめ座R(R Vir)の5月中旬の極大もおすすめです。クリムゾンスターとして有名なうさぎ座R(R Lep)は今年は極大にはなりませんが、2021年1月の極大に向けて年末にはかなり明るくなっていきます。赤い星で目測は難しいですが、ぜひお楽しみください。
観測に必要な変光星図は日本変光星研究会ウェブサイト(「変光星図」ページ)や、アメリカ変光星観測者協会(AAVSO)ウェブサイトにありますのでぜひご利用ください。また観測結果については、上記日本変光星研究会サイトの「観測報告について」を参考に、日本変光星観測者連盟(VSOLJ)の観測受付の広沢憲治さんまでご報告をお願いします。
〈関連リンク〉
関連記事
- 2023/08/18 小嶋さん、原始星の増光現象を発見
- 2023/07/05 爆発が近づいてきた再帰新星かんむり座T
- 2023/06/20 夜明け前のミラを観測しよう
- 2023/06/06 減光を始めた変光星かんむり座R
- 2023/06/02 2023年6月中旬 はくちょう座χ星が極大のころ
- 2023/05/10 まもなく極大を迎える、明るめのミラ型変光星たち
- 2023/04/07 減光を開始したか?変光星おうし座SU
- 2023/04/03 5月に極大を迎える変光星、しし座Rを見よう
- 2023/03/06 増光中の真っ赤な変光星うさぎ座Rを見よう
- 2023/02/03 ミラ型変光星カシオペヤ座Rが見ごろ
- 2023/01/13 2023年の主要なミラ型変光星の光度変化予測
- 2022/12/22 矮新星ふたご座Uが1年ぶりに増光
- 2022/11/02 2年ぶりの増光を見せた変光星おおいぬ座Z
- 2022/10/11 秋の食変光星、アルゴルとカシオペヤ座RZが見ごろ
- 2022/10/03 変光星いて座RYが急激に減光中
- 2022/09/15 ミラ型変光星さんかく座Rが見ごろ
- 2022/08/22 脈動変光星たて座Rの主極小がまもなく見ごろ
- 2022/07/27 矮新星はくちょう座SSの増光を楽しもう
- 2022/07/01 2022年7月上旬 くじら座ο星ミラが極大のころ
- 2022/06/28 まもなく極大を迎える変光星ミラ