火星からとらえたサイディングスプリング彗星の核

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NASAの探査機「マーズ・リコナサンス・オービター」が、20日に火星に最接近したサイディングスプリング彗星を撮影した。太陽系の果てからやってきた長周期彗星の核をはっきりととらえた史上初の画像となる。

【2014年10月21日 NASA

サイディングスプリング彗星(C/2013 A1)が火星から14万kmの距離を通過した20日未明(日本時間)、火星で活動中の周回機や探査車が観測を行った。その中で最も高解像度で彗星の姿をとらえたのが、NASAの探査機「マーズ・リコナサンス・オービター」(MRO)に搭載された高解像度カメラ「HiRISE」だ。

MROが撮影したサイディングスプリング彗星
MROのHiRISEカメラがとらえたサイディングスプリング彗星。最接近時に9分違いでとらえたデータを、それぞれ異なる処理で仕上げたもの。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/University of Arizona)

最接近時の彗星を1ピクセルあたり138mでとらえたHiRISEカメラの画像では、彗星核が2、3ピクセルの大きさで写っている。太陽系の果てのオールト雲から初めて太陽系中心部にやってきた彗星の核がはっきりと撮像されたのはこれが初めてのことだ。核の大きさはおよそ1kmと思われていたが、実際にはその半分以下であることがこの観測から判明した。

MROなど火星上空の周回機は、彗星から放出された塵によるダメージを避けるため、リスクの高い時間帯に火星の裏側に回る軌道を取っていた。その後、探査機は全て正常な状態であることが確認されている。

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