Hα・SIIが写る天体撮影専用カメラ「OM SYSTEM E-M1 Mark III ASTRO」が新発売
【2024年7月3日 星ナビ編集部】
OMデジタルソリューションズ株式会社は、天体撮影に最適な光学特性を備えた「マイクロフォーサーズシステム規格」準拠のミラーレス一眼カメラ「OM SYSTEM E-M1 Mark III ASTRO ボディーマウントフィルターセット」と、2種類の「ボディーマウントフィルター」を7月25日から発売する。
OM SYSTEM E-M1 Mark III ASTRO(以下、E-M1 Mark III ASTRO)は、ミラーレス一眼カメラ「E-M1 Mark III」をベースに、天体写真撮影用にチューニングした天体撮影専用カメラ。水素のHα(656nm)のみならず、硫黄のSⅡ(672nm)までをカバーするため、赤外カットフィルター透過波長域を700nm近くまで伸ばしている(このため、天体以外の一般的な被写体の撮影は推奨されない)。また、ファンクションボタンやカスタム設定を天体撮影に最適化するなど、天体写真マニア向けの仕様になっている。もちろん、「星空AF」や「ライブコンポジット(カメラ内比較明合成)」機能も搭載し、「手持ちハイレゾショット」機能を応用してカメラ内で星のズレを補正しながらスタック画像を得ることもできる。
また、天体撮影に便利な、街明かりや街灯などの人工光源による光害を低減する効果を持つ 「BMF-LPC01」、星景写真・星座写真で星を適度ににじませるソフトフィルター効果をつ「BMF-SE01」をカメラボディー内部(マウント部とイメージセンサーの間)に取り付けることで、さらに幅広い撮影表現を楽しむことができる。なお、「OM SYSTEM E-M1 Mark III ASTRO ボディーマウントフィルターセット」は受注生産となる。 OM SYSTEMオンラインストアで327,800円(税込)。
■ 発売の概要
- ■ 主な特長
-
- 1. 水素ガスが放つ波長656nmのHα線をとらえ、肉眼では見えない赤く美しい星雲を鮮やかに撮影
- 2. 星景写真から天体撮影まで、幅広い撮影シーンをカバー
- 3. ハイレゾショット機能のカメラ内スタッキング処理で、より高画質かつ高精細な撮影が可能
- ■ 主な特長の詳細
- 1. Hα線を捉え、肉眼では観察できない赤く美しい散光星雲を鮮やかに高画質で撮影
「E-M1 Mark III ASTRO」は、天体撮影で重要となる水素のHα線の透過率が約100%となるよう、センサー前方に配置されているIRカットフィルターの光学特性が最適にチューニングされている。そのため一般的なデジタルカメラでは撮影が難しいHα線により発光する星雲の美しい形と色を鮮やかに捉えることができる。
2. 星景写真から天体撮影まで、幅広い撮影シーンをカバー
広角から望遠まで被写体に合わせて選べる多彩なOM SYSTEMの「M.ZUIKO DIGITAL」レンズを組み合わせることで、星空の入った壮大な景色から、特定の星座や遠くの星雲まで、様々な天体を美しく撮影できる。また、市販のマイクロフォーサーズ対応のアダプターを介することで、天体望遠鏡に取り付けての撮影も可能。
3. ハイレゾショット機能のスタッキング処理で、より高画質かつ高精細な撮影が可能
ハイレゾショットは、複数枚撮影で得られた超高密度の画素情報により高画素撮影を実現するOM SYSTEMならではのコンピュテーショナルフォトグラフィ機能。通常は手持ち撮影時に使用する「手持ちハイレゾショット」を、あえてカメラを三脚や赤道儀に固定した状態で使用することで、天体写真でよく使われる「スタッキング処理」をボディー内でワンショットで行うことができる(※)。これにより高精細化に加え、ノイズ低減効果が得られる。
「E-M1 Mark III」に搭載されている「手持ちハイレゾショット」は、撮影中に発生するわずかな位置ずれを利用し、16回撮影した画像をもとに約5,000万画素の高解像写真を生成する。画像合成の際に一枚一枚の画像の位置合わせを行うため、三脚に固定した状態で「手持ちハイレゾショット」撮影を実行することで、日周運動による星の動きが補正された合成画像が生成される(※)。また、赤道儀使用時においては、追尾誤差で生じる星のずれが補正された合成画像が生成される(※)。
(※三脚での固定撮影の場合、1コマあたりの露出時間は星が点に写る程度のシャッタースピードに設定する)
- ■ その他の特長
-
- 星空撮影に便利なカメラの設定をカスタムモードC1、C2(モードダイヤル)に搭載
- 「E-M1 Mark III」と同様に星空撮影に最適な多彩な機能を搭載
- 星にフォーカスを合わせる「星空AF」
- 星の軌跡撮影に最適な「ライブコンポジット」機能
- 暗い環境下でも水平出しを容易にする「デジタル水準器」
- 長時間撮影に便利な、USB/PD規格対応デバイスからの「USB給電」
■ 関連製品
天体写真撮影に便利な2種類のフィルターを用意(※ボディーマウントフィルターは同時に2つ装着できない)。カメラボディー内部(マウント部とイメージセンサーの間)に取り付けるため、レンズを交換しても効果を得ることができる(※焦点距離が短いレンズの場合、周辺の像が流れる場合あり)。また、レンズ前面にフィルターを取り付けるのが難しいフィッシュアイレンズや広角レンズでも使用できる。
- ボディーマウント光害カットフィルター 「BMF-LPC01」
-
- 光害カットフィルターは街明かりや街灯などの人工光源による光をカット。これにより夜空に色かぶりが生じるのを防いで、星雲や星座の本来の美しさをより鮮やかに写すことができる。また、地平線付近は最も光害の影響を受けやすいため、東の空から昇る星座や、西の空に沈む星座を撮影するときにも効果を発揮する。
- ボディーマウントソフトフィルター 「BMF-SE01」
-
- 高い解像力を誇るOM SYSTEMブランドの「M.ZUIKO DIGITAL」レンズは、理想光源である星をきれいな点画像として結像する。 その半面、星がシャープすぎて星座がわからなくなってしまう。ソフトフィルター「BMF-SE01」を使うと、適度に恒星像がにじむ効果が得られる。輝きの強い星ほど大きくにじむので、星の色も強調され星座を際立たせることができる。
「BMF-LPC01」と「BMF-SE01」は、「E-M1 Mark IIIボディーマウントフィルターセット」に同梱される他、それぞれ単独でも販売される。OM SYSTEMブランドの「M.ZUIKO DIGITAL」レンズとの組み合わせでの適合確認済(2024年6月現在)の対象機種は「E-M1 Mark III」、「OM-1」、「OM-1 Mark II」。
関連記事
- 2024/09/27 「ステラショット3」3.0jアップデータ公開 彗星などの移動天体を追尾する「メトカーフガイド機能」を搭載
- 2024/09/11 アストロアーツ/星ナビ協賛、ソニーの「星空フォトコンテスト」応募は10月31日まで
- 2024/09/05 「ステラショット3」3.0hアップデータ公開 プレートマッチングを高速化し、動作の安定性をさらに向上
- 2024/07/27 PENTAX K-1、K-1 Mark II 用「天体写真アシスト」機能をリコーイメージングが発表
- 2024/07/21 新宿と六本木のメーカーギャラリーで星空写真展開催
- 2024/06/18 「ステラショット3」3.0gアップデータ公開 動作の安定性や精度を向上、ビクセン製ワイヤレスユニットにも対応
- 2024/06/13 星景写真向けソフトフィルター「リア プロソフトン」新発売
- 2024/04/26 「ステラショット3」3.0fアップデータ公開 ZWOカメラでのカラーバランスの問題を修正
- 2024/02/20 CP+で星ナビ編集部が講演、ステラシリーズを会場超特価で販売
- 2024/02/05 世界初「ライブGND」搭載「OM-1 Mark II」新発売
- 2024/01/31 「ステラショット3」3.0dアップデータ公開 ASI2600シリーズの動作不具合対応を含む修正
- 2024/01/24 31日ライブ配信「ステラショット3のライブスタックで都会の星雲星団を楽しもう!」
- 2024/01/18 「ステラショット3」3.0cアップデータ公開 動作安定化・精度向上と機能追加
- 2023/12/26 「ステラショット3」3.0bアップデータ公開 新たに9機種のカメラに対応
- 2023/12/13 天体撮影ソフト「ステラショット3」本日発売!
- 2023/07/31 ブルームーンでスーパームーンな月を写そう!オンライン講座開催
- 2023/07/26 街明かりの中でもここまで写る!星雲・星団撮影をライブ配信
- 2023/07/21 オンライン講習会「ペルセウス座流星群の撮影」を開催
- 2023/05/26 6月10日からオンラインで星景写真講座を開講
- 2023/04/27 スマホOK! 胸キュン青春アニメ『君は放課後インソムニア』コラボ星景写真コンテスト