ミラ型変光星カシオペヤ座Rが見ごろ
【2023年2月3日 高橋進さん】
カシオペヤ座R(R Cas)は、1等級の光度差が約2.5倍であることを明らかにしたことで有名なイギリスの天文学者ノーマン・ポグソンが1853年に発見したミラ型変光星です。変光周期は430.5日、範囲は4.7~13.5等とされていますが、実際には各回での変更幅は6等級くらいです。
カシオペヤ座Rの前回の極大は2021年12月17日で、極大等級はおよそ4.8等でした。最近の6回の極大から求めた平均周期が428日であることから、今度の極大は2023年2月18日と予想されます。ただし、この周期は大きく変化することがあり、最近の6周期の中で最も短かった時は409日でした。そのため、今回も予想より早く極大が訪れる可能性もあります。
カシオペヤ座Rの2021~2023年の光度(VSOLJメーリングリストのデータから高橋さん作成)
また、カシオペヤ座Rは極大光度がかなり変わる星としても知られており、それに伴って極小光度も変化します。次の図は2004~2023年のカシオペヤ座R星の光度曲線ですが、2005年と2016年の極大がわりと暗いことが目につきます。さらに長期の光度曲線では、およそ12年の周期で大きく波打っている様子が見られます。この傾向から考えると、今回の極大はかなり明るいものになるのではないかと期待されるところです。
カシオペヤ座Rの2004~2023年の光度。画像クリックで表示拡大(VSOLJメーリングリストのデータから高橋さん作成)
春になりカシオペヤ座の高度が下がってくるため、季節的にはやや観測しづらい時期ですが、北天の星座ですので年中観測可能です。この機会にぜひ、カシオペヤ座Rの明るい極大をお楽しみください。
カシオペヤ座R周辺の星図。数字は恒星の等級(62=6.2等)を表す。画像クリックで表示拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)
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