日食ソフト「エクリプスナビゲータ」用日食要素を公開　4月20日金環皆既日食の月縁補正に対応

日食シミュレーション・撮影制御ソフト「エクリプスナビゲータ」用日食要素データを無償公開しました。2023年4月20日に西オーストラリアやインドネシアなどで見られる金環皆既日食を、月縁形状を補正して正確に再現します。

【2023年1月10日アストロアーツ】

今年4月20日（木）に南インド洋から太平洋にかけての地域で見られる金環皆既日食（日本では南西諸島や九州南部、小笠原諸島などで部分日食）は、南インド洋のフランス領ケルゲレン諸島の西約380kmの海上で世界時1時38分ごろ（日本時間10時38分ごろ）に金環食として始まります。月の影は南インド洋を東北東に約650km移動し、ここから先の中心食帯では皆既食となります。皆既食帯は幅を広げながらインド洋を横断し、西オーストラリアのノースウェスト岬をかすめるように通過します。皆既食帯はその後モンテベロ諸島を通り、インド洋からティモール海に入り、アシュモア・カルティエ諸島、東ティモールの東端を通ってバンダ海に入ります。バンダ諸島のいくつかの島とイリヤンジャヤ、ビアク島を通り、太平洋へと抜けた中心食帯は、徐々に幅を狭めていきます。そして陸地を通ることなくマーシャル諸島の島々の間を通り、ミーリー環礁の約170km南の海上で再び金環食帯に変わった後、約1080km進んで日没を迎えます。

オーストラリアのエクスマウスでは現地時間11時30分ごろ（日本時間12時30分ごろ）に継続時間53秒、東ティモールのロスパロスでは現地時間13時21分ごろ（日本時間13時21分ごろ）に継続時間1分8秒の皆既食となります（注：継続時間は月縁補正をした値）。

「エクリプスナビゲータ4」は、国立天文台またはNASAが公開している最新の日食要素（ベッセル要素）を用いて食の計算を行います。月縁の形状の影響を補正する機能も搭載され、接触時刻を高い精度で計算することができます。

今回のデータ更新では「エクリプスナビゲータ4」用に、以下の4地点での月縁プロフィールを考慮した時刻補正データを配信いたします。

観測地	経緯度（世界測地系）
オーストラリア・エクスマウス	東経114度07分38秒、南緯21度55分50秒
東ティモール・ロスパロス	東経126度59分51秒、南緯8度31分28秒
ビアク島・モックマー飛行場	東経136度06分00秒、南緯1度10分57秒
マーシャル諸島沖	東経171度05分45秒、北緯4度35分07秒

マーシャル諸島沖でのシミュレーション。「月縁あり」データで遷移点付近特有の広範囲にわたるダイヤモンドリングを表示。日食帯地図や時刻表、天空表示、連続表示など、多角的に日食現象をシミュレーションできる。画像クリックで表示拡大

※今回公開した日食要素は元国立天文台の相馬充氏によるもので、日本の月探査機「かぐや」の地形データを使って計算した月縁の形状を含んでいます。

〈データの更新〉

以下の手順でデータの更新を行ってください。データ更新の方法などに関してご不明な点は、製品サポート「お問い合わせフォーム」よりご連絡ください。

1. 最新の「アップデータ」のインストール

ご注意：データ更新の前に、最新の「アップデータ」をダウンロードのうえインストールしてください。製品のバージョンは、「ヘルプ」メニュー→「エクリプスナビゲータについて」から表示される「バージョン情報」ウィンドウで確認できます。

「エクリプスナビゲータ4」アップデータ

2. データの更新

エクリプスナビゲータを起動し、「設定」メニュー→「データ更新」を選択します
「データ更新」ダイアログで「更新方法：インターネット」を選択し、「更新をスキャンする」をクリックします
下記の項目のチェックをオンにして「更新を実行する」をクリックします
- 「2023年4月20日南インド洋・インドネシア・太平洋金環皆既日食」
- 「2023年4月20日南インド洋・インドネシア・太平洋金環皆既日食（月縁あり）」
- 「2023年4月20日南インド洋・インドネシア・太平洋金環皆既日食（月縁あり・エクスマウス用）」
- 「2023年4月20日南インド洋・インドネシア・太平洋金環皆既日食（月縁あり・ロスパロス用）」
- 「2023年4月20日南インド洋・インドネシア・太平洋金環皆既日食（月縁あり・モックマー飛行場用）」
- 「2023年4月20日南インド洋・インドネシア・太平洋金環皆既日食（月縁あり・マーシャル諸島沖用）」
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「日食要素」メニューに各日食要素が新しく追加されます。観測地に合わせていずれかを選んでお使いください