【レポート】メキシコ皆既日食ツアー速報

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現地時間8日、北米で皆既日食が見られた。メキシコ・トレオンで観測した、アストロアーツ/星ナビ協賛ツアーの様子を速報レポート。

【2024年4月9日 星ナビ編集部

皆既食
皆既食
皆既食。活動期の太陽に特徴的な全方向に伸びるコロナと、大きなプロミネンスが目を引く。それぞれ画像クリックで表示拡大(撮影:上山治貴(アストロアーツ)、以下同)

4月8日(日本時間9日未明)、中心食帯が北米を横断する皆既日食が起こった。近畿日本ツーリスト主催・アストロアーツ/星ナビ協賛の日食観測ツアーは参加者72名の大所帯で催行された。

観測地は皆既帯で一番晴天率が高いメキシコの山岳地にあるトレオン。人口約60万人の地方都市で、北米最大のキリスト像があることで有名だ。最大食地点に近いため、世界各地の日食ハンターが集まってきている。

今回のツアーは成田―メキシコシティだけで12時間の長行程だが、前日に現地入りし、観測会場であるホテル脇の立体駐車場の屋上でリハーサルを行った。天候は思わしくなく空一面にわたり雲が広がり、時々太陽の姿さえわからなくなるほど。下見の時間には金星食もあったのだが、雲に阻まれて見ることはできなかった。唯一希望が持てるのは、風が強いおかげで雲が流れて時おり太陽が見えることだ。夕方からは晴れだして、ポン・ブルックス彗星も見ることができた。これは吉兆かも?

明けて日食当日の朝、空全体に雲が広がり、参加者の心も曇りがちだ。太陽は雲を通して姿がわかる程度にしか見えない。太陽が欠け始める第一接触のアナウンスが流れても、観測会場はシーンと静まりかえっている。そんななかでも、ベテランの日食添乗員の安野さん(日食ツアー14勝2敗の晴れ男)がみんなを鼓舞するようにカウントダウンを続けてくださっていた。

日食当日の朝の様子
当日の朝、曇り空…

このまま日食が進んでいくかと思いきや、第二接触(皆既食の開始)の30分前くらいから風下の方向に青空が見え始めた。雲が流れてくれれば、皆既食が見られるかもしれない。その後、徐々に雲が薄くなり、減光フィルターを付けないと撮影できないほどまで天候が回復してきた。

皆既5分前には西の空が真っ黒になった。月の本影だ。今回の皆既の継続時間は約4分15秒と長いので、月の本影が大きい。さらに、薄い雲があると本影がはっきりと見えると言われているので、まさに「夜がやってくる」、または「天岩戸が天を覆い尽くす」ようだ。そのまま本影が太陽に達すると、ダイヤモンドリング、続いてコロナと、みんなが待ち望んだ「皆既日食ショー」がはじまった。

雲があるので外部コロナが見えにくいものの、双眼鏡を使えば大きなプロミネンスまではっきり見える。皆既中の暗い空には、太陽の右側に金星、左側に木星もはっきり見える。会場はもちろん街中にも、観測していた人々の声が響きわたる。食の始まりの天候を考えると、まさに奇跡の皆既日食としか言いようがない。見ることができたから良いものの、心臓に悪すぎる。

皆既食中の太陽と金星
皆既中の様子。右上の明るい天体は金星。ピンボケでごめんなさい

どんなショーにも終わりがあるもの。本影は西から東に動いていき、やがて第三接触のダイヤモンドリングで終わる。その後もしばらく太陽は見えていたが、やがて雲間に見え隠れするようになり、ついには空全体が雲で白く覆われてしまった。

人間とは現金なもので、先ほどの暗い感じから打って変わって陽気になり、果ては「次の日食」の話題まで出てくる始末。ちなみにこれからの皆既日食(ツアー予定)は以下のとおりとなっている。

  • 2026年8月13日 スペイン
  • 2027年8月2日 エジプト
  • 2028年7月22日 オーストラリア

日食の旅は終わらない。日食に出かけたみなさん、また月影の下で会いましょう! (報告:上山治貴)

なお、アメリカのテキサス州ダラスでも朝から絶望的な天気ながら、皆既直前に晴れ間が広がったとのこと。日食観測の様子は、5月2日発売の星ナビ6月号でも各地のレポートを掲載する予定だ。

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