[image: 望遠鏡とデジタルビデオをアダプタそ使用して接続する模式図]

デジカメやデジタルビデオカメラで火星を撮影する場合、望遠鏡と接続する場合、通常一眼レフデジカメ以外はレンズが取れないので、フィルタネジを利用して望遠鏡に接続する。

メリット

フィルタネジのあるデジカメやデジタルビデオカメラの場合、接続が簡単。デジカメの場合シャッターや露出はオートでOK。

デメリット

フィルタネジのないデジカメの場合、カメラとアイピースの中央を調整するのが多少難しい。デジタルビデオカメラの場合重いので、しっかりした望遠鏡が必要。画像の周辺がケラレることがある。

操作手順

20センチシュミカセによる作例

20cmシュミカセにデジカメアダプタを使ってDVカメラを取り付けて撮影(アイピース20mm)したもの。強風下での撮影。

28cmシュミカセによる作例

28cmシュミカセにデジカメアダプタを使ってDVカメラを取り付けて撮影(アイピース25mm)。ズームアップ/ダウンができるのがいい。

1. 望遠鏡を火星に向けピントを合わせ、火星を視野の中心にする。
2. カメラアダプタを介してデジカメ・デジタルビデオカメラを接続する。
3. デジカメは、できるだけ高画質画像で記録するように設定する。
4. デジカメの場合、シャッター速度や露出はオート設定でよい。多少、暗く写っていても画像処理で補正できる。DVカメラの場合、マニュアルフォーカスモードにし、必要に応じて感度を調整する。
5. モニタを見ながら、拡大率、ピント、位置等を合わせる。
6. デジカメの場合、撮影(シャッター)はリモコンやセルフタイマーを使ってシャッターを切る。レリーズが取り付け可能な場合は取り付ける。
7. デジカメの場合、できるだけたくさん撮影する。複数の画像を1枚に合成すれば、きれいな画像に仕上げることができる。火星は自転により模様が移動するので、DVカメラで1枚の合成画像を得るための動画の1カットの長さは5〜10分以内にする。

ズームは望遠側がいい?

写野が円くケラレてしまうのはコリメート法の宿命ともいえる現象だ。火星の撮影ではケラレはあまり気にならないが、良像範囲は予め把握しておこう。一般に、ケラレを少なくするためにはズームをテレ側(望遠側)にするのがよいとされるが、アイピースとカメラの組み合わせによっては、必ずしもテレ端が良いとは言えないようだ。光学ズームのテレ端よりもさらに先はデジタルズームに切り替わる機種が多いが、デジタルズームでは火星表面のこまかい模様は見えてこない。ズーム位置をいろいろ試そう。ちなみに撮影時のカメラレンズの焦点距離は、画像ファイルにExif情報として記録されているので各種ソフトで参照できる。

[image: テレ側に設定し、撮影を行った月の画像] [image: ワイド側に設定し、撮影を行った月の画像]

望遠側にしたほうがケラレが大きくなる例。状況はカメラによって違うので、良像範囲がズーム位置によってどう変わるか予めテストしておこう。

口径8cmF6.3 LV10mm+DG-LV ソニーDSC-S50

露出はどうする?

火星を撮る場合、暗い背景に明るい火星があるだけなので、オート露出ではカメラは暗い画面だと判断して、火星が明るくなりすぎる場合がある。カメラにマニュアルモードがあれば問題ないが、露出がオートしかないカメラでも、たいていは露出補正機能が装備されているので活用しよう。できれば補正値を変えて、何コマも撮影しておくことをおすすめしたい。また、液晶モニタでリアルタイムに表示される画像の明るさと、あとでパソコン画面で見る画像の明るさが異なる場合もあるので注意しよう。いかにしてカメラをダマすかが、露出合わせのキモなのである。

[image: リモコンを利用してブレを防ぐ]

長焦点の撮影では、ブレは失敗の最大要因。シャッター速度に関わらず、リモコンやセルフタイマーを活用してブレを防ごう。

ピント合わせはオートでいいの?

コリメート法では、望遠鏡とカメラのピント位置は原理的には無限遠に固定するべきなのだが、実際上はカメラのオートフォーカス機能をうまく使ったほうがよい結果を簡単に得られることが多い。もっとも簡単なピント合わせの方法は、まず眼視でアイピースを覗いて恒星でしっかりとピントを合わせておいてからカメラを取り付け、次に火星をフォーカスエリアに入れて、オートフォーカスを動作させるという方法だ。また、遠景を撮影するモードに切り替え、望遠鏡側でピントを追いつめていくという方法もある。

[image: テレビにつないでピントの具合を確かめる]

ビデオ出力ができるカメラなら、テレビにつないでピントを確認するのもよい方法だ。

[image: ミードデジタルカメラアダプタ 2 の写真]

デジカメアダプタII

デジタルカメラの三脚取付ネジを利用してカメラをプレートに固定するタイプのアダプタ。さまざまなデジタルカメラの形状に対応できるよう、プレートの固定ネジをゆるめて上下・左右・前後にスライドできる仕組みとなっている。リングで支えるタイプではないので、カメラボディへの負荷も少なく、汎用性は高い。カメラレンズがアイピースをまっすぐ覗き込む位置にくるように固定する位置をきちんと調整するのがポイント。


[image: DG-LV をデジタルカメラのフィルタ取り付けねじに接続する]

DG−LV

ビクセンLVアイピース専用のアダプタ。デジカメのフィルタ取付けネジに接続。おすすめ望遠鏡には、LVアイピースがセットになっているので取付簡単。アイピースを鏡筒に差し込むとき、スリーブにガタ・たわみが生じないように取り付けるのがポイント。重量のあるカメラの場合、LVアイピースのスリーブ差し込み部分で全重量を支える構造のため、注意が必要。


[image: ボーグ SD-1X の写真]

ボーグSD−1X

豊富な各種リングを使用して、デジカメやデジタルビデオに接続可能。望遠鏡との接合部は、鏡筒に切ってあるネジにアダプタを直接ねじ込む構造なので、アイピースへの負荷もなく、一眼レフなど重量級のボディでも安心して支えることができるフィルタネジの切ってある機種のほとんどに接続可能な万能デジカメアダプタ。デジタルビデオにもフィルタネジが切っているので、対応表でフィルタ径を確認して、ぜひ、動画で火星を撮影してみよう。


[image: ビデオアストロプレートを使用して望遠鏡とビデオカメラを接続したところ]

ビデオアストロプレート

ちょっと大きめのカメラを付けたいなら、ミザールのビデオアストロプレートVX。ボディが比較的重い高倍率ズームを搭載したデジタルカメラを支えるにも十分。

※ビデオカメラの光軸と望遠鏡の光軸を正しく一致させることがポイント。昼間のうちに確認しておくと楽だ。

※商品は全て販売終了