カッシーニが探査終了2日前に撮影した「土星への別れ」
【2017年11月29日 NASA JPL】
今年9月15日、土星探査機「カッシーニ」は土星の大気に突入し、周回開始から13年に及んだ探査を終了して土星の一部となった。
その2日前にカッシーニが土星から約110万km離れたところから3色のフィルターを使って撮影した42枚の画像を合成し作られた、土星の美しい画像が公開された。「土星への別れ(A Farewell to Saturn)」と題されたこの画像には土星本体を中心にメインの環の端から端までがとらえられているほか、「プロメテウス」「パンドラ」「ヤヌス」「エピメテウス」「ミマス」「エンケラドス」といった衛星も写っている。
「土星への別れ」。クリックで画像拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute)
この特別な画像の撮影は、カッシーニ撮像チームが何年にもわたって計画してきたものだ。ミッション終了にあたり思い起こされることや称賛に値する功績は数多く、カッシーニによる土星系の探査が深く広範囲で歴史的なものであったことをあらためて感じさせてくれる。「カッシーニがもたらした科学的な成果は、実に素晴らしいものでした。最新の膨大なデータは、環を構成する細かい粒子から、衛星タイタンの景色、土星の内部にまで至り、新たな見識と驚きにつながりました」(カッシーニ撮像チーム副リーダー Robert Westさん)。
「日常的に土星系から届く新しい画像を受け取り、新しい眺めを目にし物事が変化する様子を見ることに、あまりに簡単に慣れてしまいました。別れは辛いことでしたが、カッシーニを通じてそのすべてを目にすることができた私たちは、大変な幸運に恵まれたと思っています」(米・ジョンズ・ホプキンズ大学応用物理研究所 Elizabeth Turtleさん)。
「37年前にボイジャー1号が最後にとらえた土星の姿は、これまでの太陽系探査で撮影された画像の中で最も私の心に訴えかけるものでした。同様に、『土星への別れ』の画像は、太陽系内で最も象徴的と言える土星系の詳しい探査に人類が費やした素晴らしい時間のドラマチックな締めくくりを永遠に思い出させてくれることでしょう」(元ボイジャー撮像チームメンバー、カッシーニ撮像チームリーダー Carolyn Porcoさん)。
1980年11月16日にボイジャー1号が530万kmの距離から撮影した土星(提供:NASA/JPL/USGS)
〈参照〉
〈関連リンク〉
- カッシーニ
- 星ナビ.com:2017年10月号 特集「カッシーニ グランドフィナーレ」
- アストロアーツ:
- 【特集】土星を見よう(2017年)
- 投稿画像ギャラリー:2017年 土星
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