【訃報】日本天文学界のリーダー、海部宣男さん

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国立天文台台長、ハワイ観測所所長、国際天文学連合会長などを歴任した、国立天文台名誉教授の海部宣男さんが4月13日に75歳で永眠されました。

【2019年4月15日 国立天文台

海部宣男(かいふのりお)さんは1943年9月21日生まれ。電波天文学を専門とし、星間物質や星形成等の観測的研究に従事した。ミリ波天文学の開拓に対する大きな貢献により1987年度に仁科記念賞を、星間物質の研究の功績で1998年度に日本学士院賞を受賞された。

東京大学助手、東京天文台助教授などを務めた後、1988年の国立天文台発足に伴い国立天文台教授に着任。のち、2000年に第3代の国立天文台台長に就任し、2006年まで6年間、台長を務められた。台長の任期満了に伴い国立天文台を退職され国立天文台名誉教授となられた後も、放送大学教授や世界天文年2009日本委員会委員長を務めるなど、日本の天文学普及とその裾野を広げる活動に尽力された。

また、1997年から2003年までは国際天文学連合(IAU)副会長、2012年から2015年まではIAU会長(日本人としては古在由秀さん以来2人目)に就任され、日本の天文学の発展のみならず国際的にも活躍された。

海部さんは、天文学研究にとって重要な天体望遠鏡の計画や建設にも力を注がれた。国立天文台野辺山宇宙電波観測所の野辺山45m電波望遠鏡の建設(1982年完成)をはじめ、1990年代からは米・ハワイのすばる望遠鏡プロジェクトに参加された。1994年から同望遠鏡の建設責任者となり、1997年に国立天文台ハワイ観測所の完成に伴って同観測所所長となられた。さらに、史上初のブラックホールの撮像に重要な役割を果たした、日米欧共同のミリ波サブミリ波干渉計であるアルマ望遠鏡においても、アルマ評議会の委員として、国際協力による同望遠鏡計画のスタートに大きな役割を果たした。

海部宣男さんの訃報に接し、謹んで哀悼の意を表します。

海部宣男さん
海部宣男さん。2017年10月28日に催された「古在由秀先生の卒寿を祝う会」にて(撮影:星ナビ編集部)

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