ステラナビゲータ Ver.7で再現
アンタレス食を再現しよう

星ナビ2005年4月号に掲載)

3月31日に日付が変わってすぐ、月によってさそり座のアンタレスが隠されます。日本で1等星の食が見られるのは約6年ぶり。ステラナビゲータで予行演習を十分にしておけば、後は晴れるのを祈るだけ!

1. 観測地を設定しよう

「場所」ダイアログ
数値を入力する際、国土地理院の地図から観測地の経緯度を読みとった場合は日本測地系での値になるので、世界測地系とは数百mの差がある。といってもステラナビゲータでのアンタレス食の再現にはほとんど影響はない。

星食は観測地によって、潜入・出現の位置や時刻が微妙に異なってきます。特集でも詳しいデータを掲載しましたが、ステラナビゲータで見れば、よりイメージをつかみやすくなります。

まずは、観測地を正確に設定しましょう。設定メニューバーの「場所」をクリックしてダイアログを開き、「都市名選択」ボタンをクリックします。すると「都市名」の一覧が出るので、自分の住んでいる市区町村を選択しましょう。もしGPSなどで観測地の経度・緯度・標高の正確な値がわかっている場合には、数値で入力してみることもできます。入力に必要なのは世界測地系での値なので、通常はGPSで読みとった値をそのまま使えます。

※ ステラナビゲータ7は、天体の位置計算精度は1秒以下になるよう高性能化していますが、月は山あり谷ありの地形で、しかも縁は真円ではありません。このため、月の平均的な直径で計算した潜入・出現の時刻と、実際の時刻との間には数秒の違いがあることに注意してください。

2. 赤道と黄道の交差点

「名前で検索」ダイアログ
「分類」の『太陽・月』を選び、「天体名」の『月』をクリック。『トラック』にチェックを入れるのを忘れずに。

場所を設定したら、日時を2005年3月31日午前0時に合わせます。そして「ツール」から「名前で検索」を選びダイアログを開き、「分類」を『太陽・月・惑星』に、「天体名」を『月』とします。時刻を変化させても月を追尾できるように、『トラック』にチェックを入れてOKボタンをクリックしましょう。これで、東の空から昇ってきた月が常に画面の中央に表示されているはずです。

次に「拡大」アイコン(拡大)を押して、月が画面の半分くらいの大きさになるまで拡大します。また、「恒星」アイコン(恒星)をクリックして恒星名を出しておくと、どの星がアンタレスかわかりやすくなります。

3. アンタレスを月がパクリ!

潜入

出現
月にアンタレスが潜入する直前と、出現した直後。出現は月の暗い縁からになるので、何もないところにぽっと赤い灯がともったように見えるかもしれない。観測地の設定を変えると、潜入・出現の位置が大きく変化する。沖縄には南限界線があり、境界地点はどこか探してみるのもおもしろい。

さあ、あとはステラパッドの時刻の部分を左クリックして、時間を進めてみるだけ。アンタレスが月に飲み込まれていく様子がわかるはずです。

月の表示を『輪郭』にすると、アンタレスが月の後ろをどのように通っていくのかがわかります。月の後ろのどのあたりを通過しているかということや、暗い縁からアンタレスが出現する瞬間を知ることも簡単です。

月による恒星食は、月が恒星と違って地球のすぐそばを公転していることによって起こります。ふだん肉眼では月と星は同じ速度で昇ったり沈んだりしているように見えますが、明るい恒星が(見かけ上)近くにくると、両者の空をめぐる速度の違いがはっきりと見えてきますね。