ステラナビゲータ Ver.7で再現
君は白いカノープスを見たか?

星ナビ2005年2月号に掲載)

カノープスは赤い星という印象が強いけれど、南アフリカで見たカノープスはシリウスの次に明るい恒星として白くギラギラと輝いていました。

1. 大気があるので星が浮き上がる

東京、2005年1月5日23時の空 高度の低い星は大気の影響を受けて浮き上がって見えます。とくに地平線ぎりぎりでは1度近く浮き上がっています。ステラナビゲータ7では、この点もしっかりシミュレートしているので、カノープスの見え方も正確に再現することができます。大気の影響のオン・オフは「設定」メニューの「表示形式」ダイアログの「大気差補正」で設定できるので切り替えて低空の星の見え具合を確かめてください。なお「大気差補正」がオンならば沈む太陽や月がつぶれていく様子も見ることができます。上の画面は、場所は東京、日時は2005年1月5日23時の空です。南の地平線上にカノープスが赤く輝いて見えます。

2. カノープスの名前を表示する

恒星の名前を表示する どの星がカノープスかわからない場合は、恒星の名前を表示させてみましょう。左上にある天体ツールバーの「恒星」アイコンをクリックすると、図のように恒星の設定ができます。ここで一番左側の「恒星名」アイコンをクリックすると、明るい恒星の名前が表示されます。初期設定では2.5等星以上の恒星の名前が表示されるようになっていますが、これは変更することができます。

3. 緯度を変えて色の変化を確認

場所の移動 東京での見え方を確認したら、赤道付近の緯度での見え方をみてみましょう。ステラナビゲータ7では、場所の移動も簡単になりました。インフォメーションバーの緯度の数字にマウスのポイントをあわせ、マウスの左右ボタンをクリックするだけで数字を変更できます。数字の桁ごとに変化するので、ここでは1の位にあわせて変化させてみましょう。左ボタンで数字が増え、右ボタンで減ります。南下するので右ボタンをクリックしましょう。

4. 赤いカノープスがみるみる白くなる

白いカノープス 高度の低い星の光は、天頂付近にある星よりも通過する大気が厚いので、明るさが暗くなり、色も赤っぽくなります。このため東京では、カノープスは南の地平線ぎりぎりのところに弱々しく輝いていて「南極老人星」の名にふさわしい風格(?)です。しかし、南下するにつれて明るく白くなっていきます。南アフリカで、初めて頭上高く昇ったカノープスを見たときは、なんの星かわからず惑星かと思ったほどです。ここまではっきりみえると「南国青年星」といいたくなるくらいですね。

さらに赤道付近まで南下すれば、エリダヌス座の1等星アケルナルも見えてきて、東の空のしし座のレグルスとあわせると1等星が全部で10個と、とてもにぎやかな空になります。

5. 赤いシリウス!

場所の移動 今度は反対に北上してみましょう。さきほど説明したインフォメーションバーの緯度の部分を、こんどは左クリックしていけば数値が上がり、北上していくことになります。

赤いシリウス 北緯70度、北極圏付近まで来ると、カノープスのかわりにシリウスが地平線付近で、赤く輝くようになります。日本では青白くもっとも明るい星として見えますが、北極圏ではぐっと光度を落とし、地平線にへばりついています。北極海の沿岸に出かけることがあれば、ぜひ見てみたいですね。古代ギリシア・ローマでの記録やドゴン族のいいつたえにみられる謎の「赤いシリウス」も、ここまでやってくればお目にかかることができるというわけですね。