●潜入!アフリカ大陸編(その2)


 

やっぱり南半球だね

 ホテルに戻ってからの夕食は、なんとホテル内に和食の鉄板焼きレストランがあったので、入ってみることにした。黒人のアンチャンが派手な赤いハッピを着て、鉄板の上でチャーハンやステーキを焼いてくれるというもので、思ったとおり「いやはや、なんだかなぁ」って感じ。だいたい、チャーハンは和食か?と疑問に思うこと自体、海外では無意味なのだろう。ま、しょうゆ味の食べ物があったというだけでヨシとした。

 すっかり日が暮れてから、外に出てみる。ミスター・ダニエルが、外国人が夜間に一人歩きするのはやめた方がよいというので、ホテルの庭から夜空を眺める。昼間はまずまずのよい天気だったが、割と雲の多い空になっていた。それでも、地平線付近にはくちょう座を見つけ、その地平線に対する格好から「ああ、南にきたのね」と実感した。風がそよそよと吹いていて、気温は少し寒いくらいだった。

 外に出たついでに、持ち込んだGPSレシーバをチェックする。ある程度正確な緯度経度、時刻を入力して待つこと数分、GPS衛星からの電波で自分の位置を表示することを確認した。緯度はS表示。やっぱり南半球にいるのだ。このGPSを使って、観測地の緯度経度、標高を測定し、日食のようすをエクリプスナビゲータというパソコンソフトでシミュレーションするのである。当然、コンパクトなノートパソコンも下見旅には必携になる。

 いかに快適な観測場所が見つかっても、皆既継続時間が短くては意味がない。しかも、ジンバブエの場合、皆既帯内にホテルがなく、いずれにしても長距離の移動を強いられるのだから、できるだけ皆既帯中心線に近い観測場所を見つけたいもの。それには、このGPSとエクリプスナビゲータが頼りなのだ。

 こうした観測場所探しは、地図を見せて地元の住民に聞いてもあまり確かな緯度経度はわからない。それどころか、まったく見当違いな結果に終わることが多い。もちろん、彼らが故意に嘘をついているわけではないものの、やはり信頼できるのは科学の力ということになってしまうのである。

 ひとしきりGPSを操作して動作を確認したので、部屋に戻ってテレビをつける。どうやら複数のチャンネルがあるようだ。もちろん言葉は英語。テレビの規格はおそらくPALで、日本やアメリカの規格のNTSCとは異なる。したがって、日本から持ち込んだビデオカメラの映像を再生することはできない(だいたい外部入力端子がなかった)。

 また、電気のコンセントは丸ピン3本のBFタイプと角ピン3本のB3タイプの220ボルト(だったと記憶している)。バスルームには、丸ピン2本のOCタイプ、Bタイプ、SEタイプの110ボルト(たぶん)も用意されていた。

 ということで、小生は部屋の冷蔵庫にあったライオンビールをガブリと飲んで就寝。

 

いざ北へ、観測場所に向かう

 下見旅3日目。今日はハラレの北に向かい、観測場所の下見と確保がメインの仕事だ。ハラレは皆既帯から大きく離れていて、皆既日食を見るためにはホテルからかなりの距離を移動しなくてはいけない。本当は皆既帯の中に宿があれば最高なのだが、残念ながらジンバブエを通る皆既帯の中には大きな都市がまったくなく、しかも外国人が安心して滞在できるようなホテルはハラレ周辺以外にはほとんどないのである。したがって、移動は致し方ない。反面、できるだけ皆既中心線に近い観測場所が確保できれば、それだけ長い時間の皆既が楽しめるというものだ。

 早起きしてまだ準備が整っていないレストランで朝食。面倒なので、ハムとチーズとパンだけ取ってきたら、A巻さんはちゃっかり卵を焼いてもらっていた。うーん、やるなあ。この朝もフレッシュなオレンジジュースが、ヤケにうまい。

 しばらくして、現地コーディネータのボス、ミスター・ゴードンが4輪駆動車でホテルまで迎えにやってきてくれた。ミスター・ゴードンもミスター・ダニエル同様に黒人の大男だ。とはいえ、人なつっこい目をしているので、とてもフレンドリーな印象。そのミスター・ゴードンの運転で、一路、北を目指す。昨日、マゾエに向かったのと同じ道を通って、今日はさらにその先まで行くのである。

 道は、ほとんどきちんと舗装されている。日食当日の渋滞を心配したが、ミスター・ゴードンによれば、国内にそれほどたくさんの車がないので、日食見物に行こうとする車での渋滞は、まずないだろうとのことだ。途中、すでに皆既帯の中にあるマウントダーウィンという町に立ち寄って、地元民にホテルの有無を確かめてみたが、酒場併設の怪しげな連れ込み宿的モーテルが一軒あるだけで、まともな宿はやはりなかった。

 

ハラレ道

ハラレから北に向かう道

 

 さらに北に向かって進む。ハラレ周辺はほとんどが洋風の建築物だったのだが、ここまでくると、円形の土壁に茅葺き風の三角錐の屋根を乗せた民家が増えてきた。時々、バオバブと呼ばれる巨木も生えているのが見える。予想通り、路面はだんだん悪くなっていく。

ハラレバオバブ

バオバブの木

 現地では、ミスター・ゴードンらがある程度の下見をして、観測場所となりうる広い候補地をいくつか見つけてくれていた。そこで、まずは飛行場と呼ばれるところに向かう。飛行場といっても、タダの原っぱだ。地面は土で、牛が放し飼いされていたりする。年に2回くらい、政府のお偉いさんが小さなセスナでやってくる以外は、何にも使われていないとのことだ。すでに、ここにはアメリカ人が150人ほどやってくることになっているということだった。GPSとエクリプスナビゲータによれば、皆既継続時間は3分21秒。この付近の皆既継続時間の最大は3分23秒台なので、まずまずというところだ。ただし、トイレや日陰がないので、さらにほかの候補地に向かう。

 次に訪れたのが、地元の小学校だ。その校庭が観測場所として提供できるという。最近の皆既日食の観測場所の定番が、学校の校庭。日陰となって休める建物があり、トイレがあるのが便利だからだ。さらに、もう一つ学校があるというので、そちらにも行ってみることになった。

 今度は中学校だ。そして現地をみるなり、小生は「ここにしましょう」といってしまった。皆既中心線に近く、皆既となる太陽が見える北西の見晴らしもよい。また、校庭が道から校舎を挟んで反対側にあり、ツアー参加のお客さんの囲い込みが比較的しやすい。つまり、セキュリティの問題から、地元の人の野次馬と隔離するのが容易と判断したからだ。トイレが水洗なのもポイントが高い。唯一、難があるとすれば、校庭がわずかに斜面という点だ。もっとも、伸縮できない望遠鏡の三脚を置いても倒れるほどの傾斜ではないので、特に心配するほどではないだろう。

校庭

観測場所・チマンダ中学校校庭

 

校舎

観測場所・チマンダ中学校校舎

 通学している中学生たちは、きちんと制服を着ていて、見慣れない外国人に対してはかなりシャイだが礼儀正しく、小生のインチキ英語にも問題なく対応してくれて、なかなかフレンドリー。

 ところで、この校庭、すでに別の日本とアメリカの旅行会社のツアー関係者が下見に来ていて、彼らもここが気に入ったようだ、とミスター・ゴードンがいうが、まあ三百人ぐらい人が入ってもぜんぜん問題ない広さなので、「そのときはシェアして使えばいいでしょう」と答える。

 ということで、本日も予定終了、帰路に就く。道は観測場所とした中学校から、しばらくはダートだが、20分も走ると舗装道路になった。道中、ダートはここだけということになる。

 帰路、ハラレまでの途中、ビンドゥラという小さな町に立ち寄って、ファーストフード的なレストランでTボーンステーキの超遅い昼食。ここで、なーんと、アイスコーヒーがメニューにあるのを発見した。世界中、いろいろ行ってみたけれど、アイスコーヒーなんぞを飲むのはアジアくらいと思っていたので、ちょっと驚く。で注文したら、得体の知れないブツが出てきた。コーヒー牛乳を牛乳で割って、アイスクリームを乗せたという感じ。味は○□▲※☆、二度と飲むものか! そして、来た道を順調に戻り、まだ日のあるうちにホテルに到着した。

 

観測場所フィックス

 ところで、帰りの車中、ミスター・ゴードンが日本人の現地コーディネータであるM田さんと携帯電話で連絡を取り、A巻さんがホテルで会うことをセッティングしてくれていた。携帯電話は今や世界中に存在するのだ。M田さんは多忙な方のようで、結局顔を合わせたのは深夜だった。

 とりあえず、下見のようすから観測場所として中学校の校庭を利用させてもらうことをお願いした。今のところ、即決でオファーがあった旅行会社ないそうで、M田さんは、にこやかに「問題ないでしょう」といった。観測場所はこれでフィックス。そのほか、実際のツアーで現地での移動に利用するバスの手配状況やら、治安に関することやら、いろいろと現地の情報をいただいた。

 そうそう、ジンバブエからインターネット経由でメールを送受信しようかと思ったのだけど、現地に入ってから小生の契約しているプロバイダのアクセスポイントがジンバブエにはないことが判明・・。結局、メールは送れずじまいだった。ちなみに、ジンバブエ国内の通信インフラはかなり進んでいるそうで、オフィス街でのネット環境は当たり前のようだ。

 これで、ジンバブエの下見はすべて終了。今夜はグリーンボトルのザンベジビールをガッポと飲んで就寝。翌日は南アフリカでマダガスカルへのトランジットだ。

 

 

以下、「絶叫!モザンビーク海峡編(その1)」に続く

 

 

▲ akira-kの日食下見旅日記

▲ 2001年6月21日 アフリカ南部皆既日食


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