ルーマニア・ゴボラ
皆既日食観測報告


皆既帯のほぼ中心線上でかつ皆既日食継続時間が最大の場所に こだわった今回のルーマニア・ゴボラ皆既日食ツアー。日食前日は 一日リハーサルにあて、日食後の晩も同じホテルに泊まるという 観測重視型の日程が組まれた。 予想どおりというか、 参加者の面々はほとんどが日食経験者のつわものばかり。総勢15名の 参加者の中にはインターネットライブ中継のメンバーあり、 皆既日食を見るのはは今回が5度目という方あり。さながら皆既日食“観測隊”だ。

ルーマニアでは前日から気温40度近い猛暑に見回れたが、当日は日食のほぼ全行程を見ることができた。ルーマニア国内でも、場所によっては雲に覆われてしまったところもあったようで、我々のツアーは幸運だったといえる。また今回のツアーでは観測地やホテルの選択にも恵まれていたように思われる。そのようなところを中心に画像を交えながらご報告しよう。

<到着編>

 AstroArtsモスクワからルーマニアの首都ブカレストへは空路で約3時間。バスで市内を移動中。気温はいきなり37度。予想外の暑さだ。

 AstroArtsブカレストからゴボラへはバスでさらに西へ3時間。途中まで高速道路がはしっている。車窓からは一面にひまわり畑が。

<前日準備編>

 AstroArtsホテル“パルク・デ・ゴボラ”の2階テラス部分。事前うちあわせどおり、南向きの部屋を全部とることに成功。南側の視界はばっちりなのであるが、北側の空が全然みえない。赤道儀を持参している方は極軸あわせが大変かも?

 AstroArts着々と調整をすすめるライブ中継チーム。ホテルの電話回線も順調につながった! しかし予想外の暑さに、観測機器がオーバーヒートしないかが心配そう。ホテルの方に扇風機を借りることに成功した模様。あとは当日晴れるのみ...


 AstroArtsどこから聞きつけたのか、我々の観測ツアーに次から次へとテレビ局や新聞社の取材陣が。観測準備風景をバックにアナウンサーがレポートを収録中。ライブ中継チームも複数のテレビ局や新聞社から直接取材をうけた。

 AstroArts全面の空のみえる場所が近くにないかどうか、添乗員の屋鋪さん、現地ガイドのアドレアン氏とともに捜索。その結果、ホテルからバスで5分ほどの場所にフットボールのグラウンドを発見。ここなら北側もばっちり。この日の夜、流星観望もかねて参加者全員で下見に。ベテランのK夫妻は当日もここで観測された。

<日食当日編>

 AstroArts朝方は薄曇が広がって我々をドキマキさせたが、それもつかの間、日食開始前にはほぼ快晴になった。観測体制も万全。みなそれぞれ太陽にレンズを向ける。それにしても暑い。

 AstroArtsライブ中継チームの一室は中継専用室と化した。扇風機のまわるこの部屋でチームのメンバーがひたすらコンピュータと向き合う。回線は極めて安定。右側の窓の外にはコードに接続されたカメラと望遠鏡が日食を捉えている。

 AstroArts現地では一日中、日食の特別番組が組まれ、日食が進行していく様子を逐次テレビで追っていくことができた。フランスでの皆既の中継画像が入ってきたところ。ルーマニアではあと30分もすればこの映像と同じものが直接見られる!そう思うと胸がたかまる。


 AstroArts皆既まであとわずか。日陰をうまく利用しながらデータを記録するK氏。皆既終了直後、日本に国際電話で皆既の様子を克明に伝えられていた。インターネット中継で、日本でこのメッセージを聞かれたかたも多いかったはず。

あたりがだいぶ暗くなってきた、皆既開始1〜2分前、テラス前のトタン板にシャドーバンドが出現。南北方向に伸びる、幅5cm程度の明暗の縞模様が、秒速0.5〜1m程度の速さで西から東に走ってゆくのが確認できた。撮影する間もなく、第2接触だ! 周囲はシャッター音の嵐に包まれる。

 AstroArts第2接触
FC50(f/8)直焦点、Nikon FM2ボディ
露出約1/2秒、フジ リアラ

 AstroArts皆既食
FC50(f/8)直焦点、Nikon FM2ボディ
露出約1秒、フジ リアラ

 AstroArtsルーマニアツアーに参加した川井和彦さんが撮影した写真
〜その1〜
PENTAX SD−UF2
赤導儀 :高橋 EM−1
カメラ :NIKON F4
フィルム:フジ リアラ

 AstroArtsルーマニアツアーに参加した川井和彦さんが撮影した写真
〜その2〜
PENTAX SD−UF2
赤導儀 :高橋 EM−1
カメラ :NIKON F4
フィルム:フジ リアラ

 AstroArts観測成功! 皆既食終了後、みんなにすいかを配ってくれたルーマニアの女の子、パウラ。家族で国内旅行中だったらしい。ゴボラの人々はみな人なつこくて、子供たちからよく「ジャポネ!」と声をかけられた。公用語はルーマニア語で、英語は日本同様、限られた人にしか通じない。

<おつかれさまでした!>

視界こそ南側だけだったものの、ホテル前のテラスという観測場所は意外に好評だった。まず、予想外の暑さのなか、いつでも自室に戻って休めるという環境は大きい。通信環境にも優れており、インターネット中継や会話のための電話もつかえる。テレビ中継を見ながら、実際の皆既もみれるというのもよかった。また、周りのギャラリーが少なく、観測に専念できるなどの利点もあるだろう。

観光は最小限にしかできなかったが、思い出おおき旅行となった。このくらい余裕のあるツアーというのも、なかなかよい。(ツアー同行・渡辺 裕)

 AstroArtsツアー参加者全員で記念撮影。ゴボラ市庁舎前にて。中列左から2人目、青のネクタイをしている方がゴボラの市長さん。市政120周年の記念メダルをいただいた。

 AstroArts8月12日付けの新聞、“Romania Libera”には、ライブ中継チームの記事が掲載された。ルーマニアの全国紙である。



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