かんたん天体写真撮影

「ステラショット」でかんたん天体写真撮影、
たくさん撮って「ステライメージ8」でらくらく画像処理、
天体写真が楽しく撮れるコツを紹介します。

取材写真 飯島 裕、渡部直樹、星ナビ編集部/取材協力 玉川大学生物自然研究部星班

天体写真撮影は、正確な極軸合わせやアライメントなどのセッティング、構図を決めるテスト撮影などたいへん手間がかかるものでした。「ステラショット」は、この手間を大幅に低減し、天体写真撮影を「かんたんで楽しい」ものにしました。加えて、デジカメの高感度化・低ノイズ化によって、オートガイド無しの短時間露出で多数枚撮影して、「ステライメージ8」で自動コンポジットする「らくらく撮影」もできるようになりました。

StellaShot + StellaImage8 = かんたん天体写真撮影

かんたん天体写真撮影

星雲や星団の拡大撮影をするためには、正確な極軸合わせや時間をかけてのアライメントなどの基本セッティングをこなしたあと、構図を決めるために何枚もテストショットを重ねるなど、非常に手間がかかるものでした。

ここでは、このような面倒な手順を徹底的に省力化する、「ステラショット」を使った天体写真の撮影方法をご紹介しましょう。

らくらく天体画像処理

デジカメの高感度化と低ノイズ化が進んだことで、無理にオートガイドをせずとも、短時間露出で多数枚を撮影して、撮影後の画像処理でコンポジットする方法もあります。

「画像処理」と言うと難しく聞こえますが、画像処理ソフト「ステライメージ8」を使えば難しい手順は必要ありません。ステラショットでの「かんたん天体写真撮影」に加えて、ステライメージ8を使った「らくらく天体画像処理」の方法もあわせてご紹介します。

機材設置は大体でOK!

まず、望遠鏡とデジタルカメラをUSBなどのケーブルでノートPCに接続します。次に、赤道儀の極軸を合わせますが、ステラショットには「導入補正」という新しい方法が用意されているため、極端な場合は北の方向に雲や建物があって北極星が見えなくても、コンパスを見ながら極軸を北の方向にあわせるだけでも大丈夫です。極軸を合わせたら、望遠鏡ごとに決まっている基本姿勢にしておきます。あとはステラショットの画面でボタンを操作し、望遠鏡、デジタルカメラと接続します。これで準備は完了です。

アライメントも不要

これまで天体写真を撮る前には、必ず「望遠鏡のアライメント」という作業が必要でした。ファインダーを見ながら、星がうまく導入されるように何度も調整を繰り返すという面倒な作業です。しかし「ステラショット」を使えばこの作業は要りません。

アライメントをしないと星がうまく導入できない?心配はご無用です。望遠鏡が向いている方向をステラショットが撮影して解析し、必要であれば自動的に調整してくれます。

星図を見ながら操作

ステラショットの画面は、夜間でも操作しやすいように設計されています。マウスで操作できるのはもちろんのこと、主な作業は画面上の大きなボタンで行えるので、タッチパネルでの操作も可能です。

現場で撮影対象に迷ったら、今見えているおすすめの天体を表示することもできます。季節ごとの見やすい天体はもちろん、彗星のようなそのときどきの注目現象を逃さないように、事前にネットに接続してデータを更新しておくのを忘れずに。

ピント調整もらくらく

まったくピントの合っていない状態からでは、星が視野に入っていてもボケすぎて見えないこともあります。そこで、正確なピント合わせをする前に、昼前の遠景や月などの探しやすいものを見ながら、だいたいのピントを合わせておきましょう。この状態からの正確なピント合わせは、望遠鏡で明るい1等星を見ながら行います。そのため、ステラショットの画面上の星図で1等星を選び、「導入」ボタンをクリックして望遠鏡を1等星の方向に向けます。

正確なセッティングをしていないために1等星は視野に入っていないかもしれませんが、そこは気にせず、最高感度にして10秒ほどの露出で撮影します。画面に表示される画像に、星が10個ほど見えるようにシャッター速度を調整しましょう。

星がいくつか写るようになったら、目的の1等星を見つけるためにステラショットの「導入補正」を使います。「導入補正」ボタンをクリックすると、さきほど撮影した画像を解析して望遠鏡が向いている方向を割り出し、指定した目標の方向に正確に向けなおします。望遠鏡が止まったらもう一回撮影すると、目的の1等星が画面の中央に写っています。

バーティノフマスク

ピント合わせには「バーティノフマスク」が便利です。図に示すように、望望遠の先端に「バーティノフマスク」を取り付けます。次に、ステラショットの画面でライブビューを表示し、画面の明るさを最大にして1等星がよく見えるようにします。この1等星を拡大すると、図に示したような3本のひげが生えているのがわかります。これを、下側の図のようにひげの間隔が均等になるようにピントノブを調整することで、正確にピントを合わせることができます。

さあ、いよいよ本撮影!

撮影したい天体をステラショットの画面でクリックして、「導入ボタン」を押します。すると、望遠鏡がその天体の方向に向かって動き出します。望遠鏡が止まったら、早速撮影してみましょう。このとき天体は写野の中央にはないかもしれませんし、中央どころか、写野にすら入っていないこともあります。以前はここからの調整が大変でしたが、ステラショットがあれば大丈夫。星がいくつか写っていれば、導入補正をするだけで望遠鏡の方向をワンクリックで調整してくれます。望遠鏡が止まったらもう一度撮影すれば、構図もバッチリです。

ノータッチガイドしよう

ピントも構図も準備完了。あとは、露出を変えてヒストグラムを確認しながら露出を決めます。明るさだけでなく、ノータッチガイドをするために星が流れないことを確認しながら何度か撮影してみましょう。

露出時間が決まったら、この露出時間で撮影を繰り返して合計10分間になる回数だけシャッターを切るようにします。もちろん何度もシャッターを押す必要はありません。ステラショットに枚数を入力して、「撮影」ボタンを押すだけです。このとき画像は、ダーク画像も含めて必ずRAWで撮影しておくようにしましょう。

全自動コンポジット

撮影が終わったら、「ステライメージ8」でコンポジット処理をしましょう。撮影したRAW画像をすべて選択して、「ステライメージ8」の「ライトリスト」にドラグ&ドロップします。同様に、ダークを撮影したRAW 画像を「ダークリスト」にドラグ&ドロップします。

あとは、「実行」ボタンを押して画像のコンポジットができるのを待ちます。この処理は、画像の解像度やPCの性能によっては多少時間がかかりますが、特に何もしなくても終わるのを待つだけです。

お好みで調整して完成

コンポジットができたら、「ステライメージ8」の画像調整パネルに切り替えて、画像の調整を行います。

「シャドウ」、「ハイライト」、「カラー強調」など、8種類のスライダーを操作し、処理結果のプレビュー画像を見ながらお好みの階調や色に整え、ノイズを抑えながらディテールを強調します。コンポジット前の画像と並べて表示したり、一部分を拡大して画質やノイズを確認したりといった工夫をしながら調整を繰り返し、思い通りの作品に仕上げてください。