星空の楽しさを伝えよう 3
(ステラナビゲータスクリプトの活用)

ステラナビゲータでは、星図の表示方法などを設定ファイルに保存し、手軽に再現することができます。また、設定ファイルを編集してさまざまな演出を加えることもできます。この機能を使って星空を案内してみましょう。

第2回では、設定ファイルを編集する方法を紹介しました。今回は、設定ファイルをさらに編集して、星図の表示を詳細にコントロールする方法を紹介します。

おさらい:設定ファイルの内容を見る

第2回で作成した設定ファイルを、メモ帳で見てみましょう。「七夕の星空の設定.sns」のアイコンを右クリックし、「プログラムから開く」→「メモ帳」を選ぶと、設定ファイルをメモ帳で開けます。

また、このアイコンをダブルクリックすると星図が表示され、前回設定したように星図をクリックするたびに1つずつ設定が読み込まれて表示が切り替わっていきます。

星図と設定ファイル

設定ファイルをシンプルにする

今回の記事では星図の表示を詳細に設定しますが、その前にまず、重複した部分を削除して設定ファイルをシンプルにしておきましょう。ファイルが単純なほうが見通しがよく、編集しやすくなるからです。

  1. メモ帳で開いた設定ファイルで、方位の設定をしているあたりを見つけてください。前回の編集で、コメント(#で始まる行)を残してあれば見つけやすいはずです。
  2. View.Center = ...
    という行と、
    show sky
    という行「以外」の行を、すべて削除してください。show skyは数か所に書かれていますが、「恒星名の設定の直前」の部分にあるものを指しています。
  3. 同様に、恒星名の設定をしているブロックでは、
    Star.JapaneseName.Visible = true show sky
    だけを残し、残りは削除します。星座線の設定のブロックでは
    Constellation.Line.Visible = true show sky
    を残して残りは削除、星座名の設定のブロックでは
    Constellation.JapaneseName.Visible = true show sky
    を残して残りは削除、星座絵の設定のブロックでは
    Constellation.Picture.Visible = true show sky
    を残して残りは削除、となります。
  4. 今回は、シーンの切り替えを、星図のクリックではなくすべて自動的に行うことにしましょう。前回説明したように、「waitfor(cue)」コマンドの代わりに「sleep」コマンドを使います。
    1か所ずつ修正しても構いませんが、メモ帳の「編集」メニュー→「置換」を使うと一括で修正できます。
  5. 編集が終わったら、新しい名前の設定ファイル(たとえば「七夕の星空の説明3.sns」)で保存します(「ファイル」メニュー→「名前を付けて保存」)。
    最後に「.sns」という拡張子を付けるのを忘れないようにしてください。

設定ファイル「七夕の星空の説明3」(sn10_20140704a.zip)

設定ファイルをシンプルにする

一括置換

この「七夕の星空の説明3.sns」のアイコンをダブルクリックして実行してみてください。編集前の設定ファイルとまったく変わらない動作をする(ただし、星図をクリックしなくても自動的にシーンが進む)はずです。

このように設定ファイルの流れは、シーンごとに

というのが基本的なルールです。

表示される恒星名や星座を限定する

さらに詳細に表示を設定しましょう。今回のストーリーでは七夕の星々や星座を説明することが目的なので、これらに関係がある星の名前や星座だけが表示されるように、設定ファイルを編集していきます。

恒星名を限定する

  1. 設定ファイル中の
    Star.JapaneseName.Visible = true
    という行は、「(ある基準よりも明るい)恒星すべての名前の表示をオンにする」というコマンドです。つまりこの部分を編集すると、特定の恒星だけ名前を表示できます。
  2. 設定ファイルを次のように編集してください。
    # Star.JapaneseName.Visible = true Star.AlphaLyr.JapaneseName.Visible = true # ベガ Star.AlphaAql.JapaneseName.Visible = true # アルタイル Star.AlphaCyg.JapaneseName.Visible = true # デネブ
    AlphaLyr」というのは「Lyr(こと座)」の「Alpha(α:アルファ)星」、つまりベガを表しています。残りの2つも同様です。なお、コメントを表す「#」はこのように、行の最後に付けることもできます(#より前はコマンド、後ろはコメントとして扱われます)。
  3. 編集したファイルを、新しい名前の設定ファイル(たとえば「七夕の星空の説明4.sns」)で保存します。

名前が表示される恒星を限定する

アイコンをダブルクリックして実行してみましょう。恒星名を表示するところで、ベガ、アルタイル、デネブだけが表示されていることがわかります。

星座を限定する

次は、星座の限定です。こと座、わし座、はくちょう座だけ、線や名前や絵が表示されるようにします。

  1. 設定ファイル中の
    Constellation.Line.Visible = true
    という行は、「すべての星座について、線の表示をオンにする」というコマンドです。この部分を、次のように編集してください。
    # Constellation.Line.Visible = true Constellation.Lyr.Line.Visible = true # こと Constellation.Aql.Line.Visible = true # わし Constellation.Cyg.Line.Visible = true # はくちょう
    設定ファイルを上書き保存して実行してみると、星座線を表示するところで、こと座、わし座、はくちょう座だけが表示されていることがわかります。
  2. 同様に、星座名と星座絵も星座を限定します。星座名は
    Constellation.JapaneseName.Visible = true
    という行のあたり、星座絵は
    Constellation.Picture.Visible = true
    という行のあたりです。
    編集が終わったら設定ファイルを上書き保存しましょう。

設定ファイル「七夕の星空の説明4」(sn10_20140704b.zip)

線や名前、絵が表示される星座を限定する

3星座だけが表示された星図

「七夕の星空の説明4.sns」を実行してみてください。意図どおりの星図が表示されるでしょうか。

今回は、ステラナビゲータの星図の設定ファイルを編集して特定の星や星座だけ名前などを表示する方法を紹介しました。

設定ファイルの書き方について詳しく知りたい方は、「ステラトークについて」を参照してください。

ご要望があれば、便利な設定ファイルの書き方もご紹介したいと思います。

解説動画

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