7月1日朝、3年ぶりの「うるう秒」

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明日7月1日の午前8時59分59秒と午前9時00分00秒の間に、「59分60秒」という特別な1秒が加えられる。原子時計に基づく正確な時刻と地球の自転という天文時に基づく時刻との間に生じているずれを調整するための「うるう秒」挿入で、3年ぶりの実施となる。

【2015年6月30日 国立天文台情報通信研究機構総務省

かつて時刻は、地球の公転・自転に基づく天文時(世界時)から決められていたが、1958年からは原子の振動を利用した原子時計に基づく国際原子時が開始され、1秒の長さ(時間の単位)が非常に高精度になった。月の引力による潮汐の影響で地球の自転にブレーキがかかるなどの理由により、地球の自転が少しずつ遅くなっているため、原子時計に基づく時刻と天文時に基づく時刻との間ではずれが生じている。

そこで、原子時計に基づく時刻を天文時とのずれが0.9秒以内に収まるように調整を行った時刻を世界の標準時(協定世界時)として使うことにしており、その調整のために「うるう秒」が用いられている。1972年以降、数年に1回程度の調整が行われており、今回は2012年以来26回目となる。過去すべての回でうるう秒が「挿入」されており、削除されたことはない。

各時刻系の関連図
各時刻系の関連図。クリックで拡大(提供:国立天文台)

一般の時計では、60秒の表示を見ることはできないが、NICT本部(東京都小金井市)研究本館に設置している「日本標準時大型表示装置」では、「8時59分60秒」を見ることができる。当日は、敷地の一部が開放され観覧スペースが設けられる。また、うるう秒に関する説明会も開催される(午前8時開場、その他詳細は、以下「午前8時59分60秒を見てみませんか?」を参照のこと)。

なお、うるう秒の調整は1月1日か7月1日に実施すると決められており、平日の実施は18年ぶりとなる。コンピュータの調整がうまくいかずトラブルが発生する可能性もあるため、じゅうぶんな対策が進められている。うるう秒については、国によって廃止論も出ており、今年11月にスイスで行われる国際電気通信連合の会合で議論されることになっている。

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