H3ロケット試験機2号機、打ち上げ成功
【2024年2月19日 JAXA】
2月17日(土)午前9時22分、H3ロケット試験機2号機が鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。ロケットは順調に飛行し、第2段機体が予定の軌道に入ると小型副衛星「CE-SAT-IE」と「TIRSAT」がそれぞれ分離されて軌道へ投入された。続いて、試験機1号機に搭載されていた先進光学衛星「だいち3号」と同等の質量特性を持つ「ロケット性能確認用ペイロード(VEP-4)」も分離された。その後、第2段機体は制御落下により大気圏へ再突入し、打ち上げは成功した。
なお、当初の打ち上げ予定は15日だったが、天候の悪化が予想されたため延期されていた。
H3ロケット試験機2号機では、昨年3月の試験機1号機の打ち上げ失敗について約7か月かけて原因を究明した結果が反映されている。ロケットの現物がなく分析する飛行データも限られていたため、原因の絞り込みは困難を極めたが、プロジェクトマネージャーであるJAXAの岡田匡史さんたちH3チームは「自分たちが立ち止まってしまっては、日本の宇宙の未来は閉ざされてしまう」との思いを胸に徹底的な検討を続け、2号機の打ち上げに向けた作業を進めてきた。
迎えた今回の打ち上げでは、1号機で着火しなかった第2段エンジンの燃焼が始まると、種子島宇宙センターにある総合司令棟で歓声が上がった。続いて、第2段エンジンが1回目の燃焼を停止し、CE-SAT-IEが所定の軌道で分離されると、岡田さんたちが抱き合ったり握手を交わしたりして喜びに沸く様子が中継で流れた。
記者会見で岡田さんは、次のように喜びと安堵の気持ちを語った。「たいへんお待たせいたしました。ものすごく重い肩の荷が降りた気がしています。満点です。ようやくH3が産声をあげることができました。H3をこれからしっかりと育てていきたいです」。
今回の打ち上げ成功は、今年1月の小型月着陸実証機「SLIM」の月面着陸成功と並び日本の宇宙開発の大きな弾みとなるものだ。H-IIA以来30年ぶりの国産新型ロケットとなるH3は、今後の日本の主力ロケットとしての活躍が期待される。世界初のミッションとして火星の衛星からのサンプルリターンを目指している「MMX」計画では探査機の打ち上げに利用される予定だ。また、H3の安く確実な打ち上げが実現すれば、国内だけでなく世界中からの商用衛星打ち上げの受注にも応えられ、激しい宇宙ビジネスへの参入が叶うことになる。
〈参照〉
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