炭素質の小惑星をカイパーベルトで初めて発見

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カイパーベルトに位置する小惑星2004 EW95をヨーロッパ南天天文台のVLTで観測したところ、この天体が炭素質であることが明らかとなった。カイパーベルトでこのタイプの小惑星が確認されたのは初めてである。

【2018年5月16日 ヨーロッパ南天天文台

現在考えられている太陽系初期の理論モデルによると、巨大ガス惑星が誕生後に太陽系の中を移動し、その影響で太陽系の内側にあった小さな岩石質の天体は外縁部へと弾き出されたと推測されている。このモデルに従えば、海王星の軌道より外側にありほとんどが氷の小天体で占められているカイパーベルトにも、岩石質の小天体が少しは存在することになる。

現在、探査機「はやぶさ2」が目指している小惑星「リュウグウ」は、「C型小惑星」と呼ばれる炭素質の小惑星だ。リュウグウは地球のすぐ外側を公転しているが、理論モデルが正しければ似たような小惑星はカイパーベルトにも存在するはずである。しかしこれまでに、確実に炭素質の小惑星だと思われる天体がカイパーベルトで発見されたことはなかった。

英・クイーンズ大学ベルファストのTom Seccullさんたちの研究チームは、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTに搭載されている分光観測装置X-ShooterとFORS2を使用して、カイパーベルトにある小惑星2004 EW95の反射スペクトルを観測し、この小惑星の組成を調べた。

2004 EW95が注目を集めたのは、かつてハッブル宇宙望遠鏡によって観測された際に反射スペクトルが独特なものだったためだ。通常、カイパーベルト天体の反射スペクトルにはこれといった特徴が見られず、そこから天体の組成に関する情報はほとんど得られないが、2004 EW95のスペクトルは明らかに周りの小天体とは異なっていたのである。

2004 EW95の想像図 カイパーベルトにある小惑星2004 EW95の想像図(提供:ESO/M. Kornmesser)

2004 EW95の大きさは約300kmで、小惑星としては小さなものではないが、地球から約40億kmも離れたところを移動しているため、口径8.2mのVLTをもってしても観測は困難であった。

分光観測の結果、2004 EW95の反射スペクトルに酸化第二鉄(鉄の赤さび)とフィロケイ酸塩(雲母などのケイ酸塩鉱物)の存在を示す特徴が見られた。これらの物質がカイパーベルトの天体で検出されたのは初めてのことで、2004 EW95がC型小惑星のような炭素質の小惑星であることを強く支持するものだ。

炭素質の小惑星がカイパーベルトにも見つかったことは、太陽系初期の理論モデルを支持する強い根拠となる。