板垣さん発見の超新星2018zdが13等台に増光

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山形県の板垣公一さんが3月2日に発見した超新星2018zdが13等台まで明るくなっている。

【2018年3月23日 VSOLJニュース

著者:山中雅之さん(広島大学)

山形県の活発な超新星ハンターである板垣公一さんによって3月2日20時40分ごろ(日本時)に発見された超新星SN 2018zdが13等台に増光しています。

SN 2018zdは、地球から約6500万光年と近い距離にあるきりん座方向の銀河NGC 2146に発見されました。超新星の位置は以下のとおりで、銀河の中心から104.5秒西、35.6秒北です。

赤経  06h18m03.18s
赤緯 +78°22′00.90″(2000年分点)

NGC 2146周辺の星図と、DSS画像に表示した超新星
NGC 2146周辺の星図と、DSS画像に表示した超新星。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成。DSS画像の版権について

この超新星のガス成分に含まれる物質を決定する観測(分光観測)がグローバル・スーパーノヴァ・ネットワーク(Global SN Network)およびズウィッキー・トランジェント・ファシリティ(ZTF)によって実施され、水素・ヘリウムによって輝線が見られるII型の一種であることが報告されました。

その後、私たちを中心として日本の光赤外線大学間連携を通じた観測が実施され、この超新星が発見時の約18等級から増光したことが確認されました。たとえば国立天文台の石垣島天文台むりかぶし望遠鏡による観測では、3月20日の時点で13.8等と、とても明るくなっていることがわかりつつあります。これらの研究は現在進行中です。

きりん座の超新星
きりん座の超新星SN2018zd。(左)板垣さんによる発見画像、(右)3月17日の画像(撮影:モンドシャルナさん)。画像クリックで投稿画像ギャラリーのページ

増光期のごくわずかな時期に見られる水素やヘリウムの輝線は、超新星自身の噴出物質と周囲に分布するガスとの相互作用が原因と考えられています。近年の研究によって、このようなガスは、星が爆発を引き起こす直前に、星自身によってまき散らされたと指摘されています。しかしながら、そのような現象は必ずしも観測されるわけではなく、全くの未解明といってよいような状況にあります。今後、この超新星をめぐって国際的が研究競争が引き起こされることが予期されます。

また、13等台に到達するような超新星は年間2、3天体と比較的珍しく、今が見ごろといえます。今後も目の離せない超新星の一つとなりました。

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