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140億年かなたにある宇宙初期の原始銀河を発見


NRO10 宇宙の年齢を150億年前とすると、宇宙誕生からわずか10億年後の 宇宙初期における銀河系クラスの大質量の銀河が形成されつつある現場、 すなわち「原始銀河」が発見された。

京都大学理学部の太田耕司助手らのグループは、現在までに 知られているうちで3番目に遠い天体(距離およそ140億光年)で、 おとめ座の クエーサーBR1202-0725を、 国立天文台野辺山宇宙電波観測所の6素子ミリ波干渉計を用いて観測し、 140億光年彼方の天体から一酸化炭素分子(CO)輝線を検出することに 世界ではじめて成功した。

宇宙の初期には、ほとんど水素(H)とヘリウム(He)しかなく、 一酸化炭素分子を作る酸素(O)と炭素(C)は、星の内部で形成され、 超新星爆発などで放出されたものである。 今回、そこからの電波を検出したのである。 このことは、このクエーサーのまわりには、星の材料となる分子ガスが 非常に大量に存在し、活発な星の形成が行われていることを示している。 また、一酸化炭素分子からの電波強度から、分子ガス(主に水素分子)全体の 質量を求めることができ、その質量は太陽の1000億倍、恒星と星間物質を 合わせた銀河系の総質量に匹敵し、その広がりも 同じ程度であることもわかった。

これほど若い天体に、分子ガスが大量に存在することを発見したのは 世界初であり、銀河誕生の過程の解明に手がかりをあたえる発見でもある。

論文は8月1日号のネイチャーに掲載される。


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