系外惑星の温度や大気を観測、すばるの新装置「カリス」
【2017年2月16日 すばる望遠鏡】
系外惑星(太陽系外の惑星)はこれまでに3500個以上も見つかっている。その多くは、ドップラー法(惑星に引っ張られることによる中心星の動きの揺らぎを検出する方法)やトランジット法(中心星の前を惑星が通過する際に生じるごくわずかな明るさの変動などを観測する方法)など、間接的な方法で発見されてきた。
一方で、恒星に比べると惑星はとても暗いため、その姿を直接写し出して発見したり、あるいは他の方法で発見された惑星を直接撮影したりすることはきわめて困難である。近年になってようやく、すばる望遠鏡などの大望遠鏡で系外惑星を直接撮影できるようになった。
米・プリンストン大学、国立天文台の研究チームは昨年7月、すばる望遠鏡に新しい観測装置「カリス」(CHARIS, Coronagraphic High Angular Resolution Imaging Spectrograph 高コントラスト近赤外線面分光装置)を搭載し、その試験観測に成功した。カリスは、明るい恒星の周囲を回る暗い惑星を見分けて分光観測を行うことで、惑星表面の状態・温度・大気の様子などを明らかにすることができる。
すばるでは、大気による光の揺らぎの影響を抑えるための超高コントラスト補償光学システム「SCExAO」が稼働中で、8.2mの大口径を最大限に活かした精細で鮮明な画像が得られる。そこにカリスの詳細な分光観測を組み合わせることによって、様々な惑星系の起源や進化の理解につながる観測が行われ、系外惑星の研究が飛躍的に進むと期待される。
〈参照〉
- すばる望遠鏡: 系外惑星の大気成分を探る新たな観測装置が始動
〈関連リンク〉
- すばる望遠鏡: http://subarutelescope.org/
- CHARIS: http://scholar.princeton.edu/charis
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