土星の環の隙間にくっきり、衛星ダフニス

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土星の環の隙間の一つ「キーラーの間隙」に存在する衛星「ダフニス」の姿が、探査機「カッシーニ」によってとらえられた。衛星の模様や環の微細な構造がよく見える。

【2017年1月20日 NASA JPL

土星の衛星「ダフニス」は、2005年にNASAの探査機「カッシーニ」の撮影画像から発見された直径8kmほどの小さい衛星だ。

ダフニスは、土星のA環(アマチュアの天体望遠鏡で見える環のうち一番外側)の中にある、幅42kmの「キーラーの間隙(空隙)」という隙間に位置している。A環の幅は約1万4600kmで、その外縁から約250km内側にキーラーの間隙がある。

その衛星ダフニスとキーラーの間隙を、今月16日にカッシーニが約2万8000kmの距離から撮影した画像が公開された。解像度は1ピクセルあたり168mで、これまでで最も精細にダフニスの姿がとらえられている。

キーラーの間隙と衛星ダフニス
キーラーの間隙と衛星ダフニス。斜めから撮影しているのでキーラーの間隙は実際よりも細く見えている。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute)

土星の他の小衛星「アトラス」と「パン」のように、ダフニスには赤道部分に狭い隆起部が見られる。表面はなめらかで、環から細かい粒子が降り積もっていると考えられる。また、いくつかのクレーターや、赤道と平行な別の隆起も見える。

ダフニスだけでなく、環の様子も詳細に見えている。いくつかの幅の広い部分では表面がざらざらしているように見えており、これは粒子同士が集まっている構造かもしれない。また、画像の左端に見られるキーラーの間隙の波の頂点が、他のくっきりとした部分に比べてなだらかなのも特徴的だ。ダフニスの重力によって間隙の縁には波が生じるが、おそらくダフニスがこの部分に近づいた際に環を構成する細かい粒子が動かされ広がったのだろう。

さらに、ダフニスのすぐ後ろ(左側)には、環の物質が細くかすかな蔓(つる)状に見えている。ダフニスが環から一まとまりの物質を引きずり出し、それが拡散しつつあるところかもしれない。

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