初めて接近観測された木星の両極、多数の嵐や巨大オーロラ

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木星探査機「ジュノー」が初の木星フライバイ時にとらえた画像が公開された。縞や帯がなく多数の嵐が渦巻く北極や、赤外線で見た南極の巨大オーロラなどが写し出されている。

【2016年9月5日 NASA

NASAの木星探査機「ジュノー」は8月27日に第1回目の木星フライバイ(接近通過)を実施し、雲頂から4200kmまで接近して観測を行った(参照:アストロアーツニュース「探査機「ジュノー」、木星を初フライバイ」)。6時間かけて取得されたデータの分析から、いくつか興味深い発見がなされている。

「木星の北極は、これまで私たちが見てきたものとも推測とも異なるものでした。色は木星のどの場所よりも青みがかっていて、多くの嵐が見られます。一方で見慣れた縞や帯はなく、とても木星の画像と思えるものではありません」(ジュノー 主任研究員 Scott Boltonさん)。

木星の北極
雲頂から7万8000kmの距離から搭載カメラ「JunoCam」がとらえた木星の北極(提供:NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS、以下同)

観測には「JunoCam」をはじめ8つの機器が使用されているが、そのうちオーロラ分布図作成のための赤外線観測機器「JIRAM」は、南北の極域で注目すべき画像をとらえている。

「JIRAMは赤外線による初の木星クローズアップ画像を見せてくれました。南北両極の画像から、これまでに見たことのない高温領域の存在が明らかになっています。さらに、初めて木星の南極のオーロラが観測されました。明るく構造のしっかりしたその姿には驚かされます。今後の詳しい画像分析で、オーロラの形態やダイナミクスなどの詳細が明らかになるでしょう(伊・宇宙天体物理・惑星科学研究所 Alberto Adrianiさん)。

赤外線でとらえた木星南極のオーロラ
「JIRAM」が赤外線でとらえた木星南極のオーロラ

赤外線でとらえた木星の動画(提供:NASA/JPL-Caltech/SwRI/ASI/INAF/JIRAM)

また、電波・プラズマ波実験装置「Waves」が記録した電波放射も興味深いものだ。木星の電波放射は1950年代から知られてきたが、これほど近くで得たデータが分析されたことはない。

「Wavesは木星の北極を取り囲む巨大なオーロラを引き起こす、エネルギーを帯びた粒子からの放射を検出しました。その放射は太陽系で最強です。粒子にエネルギーを与えている電子がどこからやってくるのかについて調べていきます」(Waves共同主任研究員 Bill Kurthさん)。