超新星残骸の近くに見つかったマグネター

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【2014年9月3日 ヨーロッパ宇宙機関

欧州のX線天文衛星「XMMニュートン」が超新星残骸をとらえた画像に、ひじょうに強力な磁場を持つ中性子星「マグネター」が発見された。1枚の画像中に2つの中性子星が写し出されている。


超新星残骸「ケスチーベン79」(上)とマグネター「3XMM J185246.6+003317」(下)

超新星残骸「ケスチーベン79」(上)とマグネター「3XMM J185246.6+003317」(下)。クリックで拡大(提供:ESA/XMM-Newton/Ping Zhou, Nanjing University, China)

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)のX線天文衛星「XMMニュートン」が撮影した画像に、2つの異なる中性子星が写っていた。

画像中大きな部分を占めている泡状構造は「ケスチーベン79」と呼ばれる超新星残骸で、わし座の方向に位置している。超新星残骸中の高温ガスの特徴と天体の大きさから、ケスチーベン79の年齢は5000〜7000歳と計算されている。天体から地球までの距離2万3000光年を光が伝わる時間を考慮すると、超新星爆発が起こったのは約3万年前と考えられており、その爆発で弱い磁場を持つ中性子星(ケスチーベン79の中央の青い点)が残された。

その下には青い斑点状に見える天体が存在する。これはマグネターに分類される、ひじょうに強力な磁場を持つ中性子星「3XMM J185246.6+003317」だ。超新星残骸中の中性子星は比較的若いが、マグネターの年齢は百万歳ほどとみられている。つまりその年齢差から、ケスチーベン79を形成した爆発からマグネターが形成された可能性はないことがわかる。

3XMM J185246.6+003317は、2008年と2009年に取得された画像を調べることにより2013年に発見されたものだ。発見後、同じ空域をとらえた2008年以前の画像を調べたところ、マグネターの形跡はまったく見られなかった。そのため、マグネターが放出した爆発的なX線は、磁場構造における劇的な変化によるものではないかと考えられている。