スーパーフレアを起こす、太陽にそっくりな星

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【2014年3月25日 京都大学大学院理学研究科

太陽フレアは、人間の生活にも大きな影響を及ぼすことがある太陽表面の爆発現象だ。太陽以外の恒星でもフレアは発生するが、太陽で見られる史上最大級のフレアをはるかにしのぐ「スーパーフレア」が観測された恒星のうち2つが、太陽とそっくりであることがわかった。


スーパーフレアが起こっている星の想像図

スーパーフレアが起こっている星を、Hα(水素吸収線)で見た場合の想像図。クリックで拡大(提供:発表資料より。以下同)

KIC 9766237とKIC 9944137の鉄の吸収線

KIC 9766237とKIC 9944137のスペクトルに見られる鉄の吸収線。太陽とそっくりであることがわかっているさそり座18番星のもの(点線)とぴったり重なる。これらの星が連星ではなく単独の星であること、自転速度や鉄の含有量が太陽とほぼ同等であることを示唆している。クリックで拡大

太陽で起こる「フレア」と呼ばれる現象は、黒点に蓄えられた磁場のエネルギーが一気に放出される爆発現象で、この時、太陽から大量のプラズマ粒子が放出される。大きなフレアで放出された物質が地球磁気圏に衝突・侵入すると、巨大な磁気嵐を引き起こし、通信システムの障害や大規模な停電など人間の生活にも大きな支障をきたすことが知られている。

京都大学理学研究科附属天文台を中心とする研究チームはNASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」のデータを解析し、太陽と同タイプの「G型主系列星」でスーパーフレア(これまで太陽で見られた最大級フレアの100倍〜1000倍ものエネルギーを解放するもの)が起こったものを150個探し出した。

研究グループはさらに、これらの星が太陽と本当にそっくりと言えるかどうかを明らかにするため、2013年6月にすばる望遠鏡を用いて星の分光観測を行った。その結果、「KIC 9766237」と「KIC 9944137」の2つが特に太陽によく似ていることがわかった。

恒星が連星系である場合や自転周期が速い場合などには大規模なフレアが発生しやすくなると考えられるが、フレアの発生に影響するそれらの性質においても、この2つは太陽とひじょうに似ている(つまり、連星系ではなく、自転周期が速くもない)。この結果は、莫大なエネルギーが放出される「スーパーフレア」現象が私たちの太陽でも起こりうることを示すものだ。

今後研究チームではすばる望遠鏡に加え、京都大学を中心に開発中の口径3.8m望遠鏡を使ってスーパーフレア星の性質や長期的な活動性の変化をさらに詳しく調査する予定だ。これらの研究により、巨大なフレアが起こる条件や兆候についての知見が得られれば、太陽活動による人類社会への被害を防ぐことにつながるかもしれないという。