原始惑星系円盤に取り込まれたガスの化学変化

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【2014年2月13日 アルマ望遠鏡東京大学大学院理学部

およそ460光年彼方の原始星で、周囲のガスが原始惑星系円盤に取り込まれる際に組成が大きく変化するようすがとらえられた。


原始星L1527と周囲のガス

原始星L1527に引き込まれるガスの動きが回転優勢に転じる「遠心力バリア」の内側が、原始惑星系円盤の構造となる。遠心力でガスがあたためられることで放出された一酸化硫黄分子のリング状分布(紫色)が、電波観測で明らかになった。クリックで拡大(提供:The University of Tokyo。以下同)

観測されたガス分子の動き

観測されたガス分子の動き。クリックで拡大

星は、宇宙に漂うガスと微粒子が集まることで生まれる。生まれたばかりの星(原始星)の周りにさらに降り積もったガスや微粒子は、星を取り巻く円盤(原始惑星系円盤)となり、この中でやがて惑星が生まれる。

東京大学理学系研究科の坂井南美助教らを中心とする国際研究チームは、おうし座方向にある原始星L1527を取り巻くガスの動きや温度をアルマ望遠鏡で調べた。

その結果、星の周囲のガスが円盤に取り込まれていく過程で局所的に加熱され、大きな化学変化を引き起こしていることがわかった。原始惑星系円盤の形成においてこれほど化学組成が変わることが発見されたのは今回が初めてのことで、アルマ望遠鏡の高い解像度と感度がもたらした成果である。またこの化学変化のようすから、円盤が成長しつつある外縁部をくっきりととらえることもできた。

円盤外縁部でのガスの化学変化が普遍的なもの、つまり私たちの太陽系が生まれたころのプロセスにも当てはめられるものなのか、それともこの天体固有のものなのかについては今後の観測が待たれる。