初めてとらえた、6光年先の褐色矮星の“天気図”

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【2014年1月30日 ヨーロッパ南天天文台

太陽系のすぐそばにある褐色矮星の表面模様が、初めて詳しくとらえられた。模様の変化を観測することで、太陽系外のガス惑星の大気について理解が進むかもしれない。


0.8時間ごとに見た褐色矮星Luhmanの表面模様

0.8時間(48分)ごとに見た褐色矮星Luhman 16Bの表面模様。クリックで拡大(提供:ESO/I. Crossfield)

昨年発見されたばかりのLuhman 16(正式名WISE J104915.57-531906.1)は、ほ座の方向わずか6光年先にある褐色矮星の連星だ。惑星と恒星の中間のようなサイズと性質を持つ天体が2つ、お互いを回り合っている。

独・マックスプランク天文学研究所のIan Crossfieldさんらは南米チリ・パラナル天文台の超大型望遠鏡(VLT)を使って、連星を成す2つのうち暗い方(B星)を赤外線で観測した。自転に伴って数時間ごとに見られる明るさの変化や明暗の部分の動きを手がかりに、その表面の模様を調べた。

「以前の観測から褐色矮星の表面はまだら模様になっているらしいことがわかっていましたが、今回の研究では詳しいマッピングを行いました。このLuhman 16Bで雲の模様が作られ、変化して消えていくまでを見ることができるようになります。いずれはこの星の天気予報も可能になるかもしれません」(Crossfieldさん)。

褐色矮星は、惑星よりは大きいが質量が軽すぎて普通の恒星になれなかった星で、その表面は太陽系外の巨大ガス惑星によく似ているとされる。そのため、比較的観測しやすい褐色矮星から巨大ガス惑星を知るヒントを得るのだ。褐色矮星での天気変化をさらに詳しく調べることで、褐色矮星や太陽系外の巨大ガス惑星の全球的な大気循環を理解する手がかりが得られるかもしれないと期待される。

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