星形成領域「W49A」の巨大密集星団

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【2013年12月18日 CfA

天の川銀河内の星形成領域「W49A」の鮮明な姿がサブミリ波観測でとらえられた。密集する巨大星団や、中心部に流れ込むガスを材料に星が次々と生み出されるようすが明らかになっている。


W49A中心部の分子ガス

W49Aの中心部30光年の範囲における分子ガスの分布。中心の明るい部分では、幅3光年未満の範囲に太陽5万個分もの分子ガスが満ちている。クリックで拡大(提供:Roberto Galván-Madrid (ESO), Hauyu Baobab Liu (ASIAA, Taiwan), Tzu-Cheng Peng (ESO))

スミソニアン天体物理観測所のサブミリ波干渉計(SMA)による観測で、わし座方向3万6000光年彼方の星形成領域「W49A」の内部が鮮明にとらえられた。

W49Aの中心には巨大な星団があり、幅10光年の空間に10万個もの星がひしめいている。太陽の周囲の同等範囲には10個未満の恒星しかない。今後数百万年経つと、この巨大星団は球状星団の規模に成長するとみられる。

こうした密集した星団は、星同士の重力作用のおかげで離ればなれとなることがないため、数十億年はその姿を保つことができるという。

観測では、細いフィラメント状のガス流もとらえられた。大きな3本の流れから、星の材料となるガスが秒速約2kmのスピードで中心部に注ぎ込まれている。

その中心部約30光年の範囲には、天の川銀河内の平均的な分子雲の数百倍もの高密度ガスが存在している。W49A全体で、太陽100万個に相当するガス(ほとんどが水素分子)が含まれることになる。

研究チームでは、W49Aで見られるような構造は巨大な星団形成において一般的なのではないかと考えており、今後しばらくデータ解析を続けるとのことだ。


星形成領域W49Aの位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。「天体」メニュー→「星雲・星団」ダイアログで、「HII領域」の「表示」「名称」のチェックをオンにします。わし座の該当の位置にマークが表示されます。