愛知県の新星ハンター長谷田勝美さんを偲ぶ

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【2013年10月7日 アストロアーツ】

新星や特異変光星など多くの新天体発見で活躍した愛知県の長谷田勝美(はせだかつみ)さんが、先月7日亡くなった。享年68歳。


長谷田勝美さん

2006年3月の日本天文学会・春季年会(和歌山大学)にて、「たて座新星」と「たて座第2新星」の発見に対して贈られた天体発見功労賞受賞を喜ぶ長谷田さん。クリックで拡大(提供:佐野康男さん)

長谷田さんが発見したウォルフ・ライエ星WR104

2001年に長谷田さんが発見した特異変光星のひとつ、ウォルフ・ライエ星WR104。ハワイのケック天文台で、うずまき状ガスの回転がとらえられ「うずまき星」の正体に迫る重要な発見となった。クリックで拡大(提供:門田健一)

愛知県の新天体ハンター・長谷田勝美(はせだかつみ)さんが9月7日、肺がんにより68歳で亡くなった。葬儀は家族葬で行ったとのこと。

1945年に兵庫県神戸市で生まれた長谷田さんは、1965年の池谷・関彗星の接近をきっかけに新天体発見を志すようになった。1998年にさそり座の矮新星V893 Scoを再発見、2000年には念願の新天体となるたて座の新星V463 Sctを発見し、これを皮切りに多くの矮新星や新星などを発見した。

2001年にはウォルフ・ライエ星WR104の大幅な増光を特異変光星として観測し、貴重な現象として天文学界で大きな注目を集めた。

なよろ市立天文台「きたすばる」
佐野康男さんのコメント

生前、長谷田さんとは全国で開催された表彰式や研究会に一緒に出ていました。いつも明るく、新しい未知の発見談義で、同じ発見者と夜通し語っていました。その仲間には超新星発見者の板垣公一さんもいて、2003年に東北大学で日本天文学会が開催された際には、一緒に板垣さん宅を訪れ、発見談義で盛り上がったことを思い出します。

とにかくとても明るく優しい方で、新星発見の話になると目が輝き、熱い情熱が心からわき出ている方でした。星への情熱と思いは人一倍強く、一般の方達に少しでも星に親しんでほしいとの思いで開発したデジタルプラネタリウム(メディアグローブ)は、現在の潮流の発端となったものでしょうか。

厳しい闘病生活の中でも新星発見をあきらめず努力し、亡くなる直前まで希望を捨てずに発見を目指していたとのことです。その情熱には頭が下がる思いです。


長谷田勝美さんの訃報に接し、謹んで哀悼の意を表します。

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