すばる望遠鏡、木星の数倍の惑星を直接撮像

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【2013年8月5日 すばる望遠鏡

すばる望遠鏡による観測から、木星の数倍程度の質量を持つ惑星が直接撮像で見つかった。これほど軽く低温の系外惑星を直接検出したのは世界で初めてだ。


GJ 504とその惑星の赤外線像

中心星GJ 504と、その惑星GJ 504 b(右上)の赤外線像。右はノイズ成分を取り除いた画像。クリックで拡大(提供:国立天文台)

東京工業大学・東京大学・国立天文台を中心とする研究チームが、おとめ座の方向約60光年彼方の恒星GJ 504(おとめ座59番星)を回る惑星をすばる望遠鏡で撮像して検出した。これまでに見つかっている系外惑星の多くは、中心星の手前を横切る際の明るさの変化や、惑星の重力に振り回される中心星のわずかなブレなどから間接的に検出されたものであり、今回のように直接的に検出された例は総発見数の3%ほどしかない。

直接撮像された惑星はその年齢と明るさから質量を推定するが、これまでに撮像された惑星は年齢が約5000万歳以下と若いため質量の推定が難しく、褐色矮星(惑星と恒星の中間的な質量を持つ天体。木星の約14倍程度の重さより軽いもの)かどうかの判断を難しくしていた。

今回観測された惑星GJ 504 bは年齢が1〜5億歳と古く、そこから推算した結果、木星の3〜5.5倍の質量であるらしいことがわかった。直接撮像された惑星としては、これまででもっとも軽いものとなる。

また複数の赤外線波長での観測から、GJ 504 bは低温度で大気中の雲が少ない惑星とみられることもわかった。

GJ 504 bは、太陽系での冥王星軌道に匹敵するほど中心星から遠くを回っている。太陽系のデータを元にした惑星形成理論ではこれほど離れたところで惑星が作られるのは難しいとされており、GJ 504 bがどのように生まれたのかもよくわかっていない。研究チームでは、中心星であるGJ 504の金属量(水素やヘリウムよりも重い元素)が比較的多いことが関係している可能性も指摘しており、今後のさらなる観測・検証での解明が待たれる。


ステラナビゲータで系外惑星の位置を表示

ステラナビゲータでは、700個以上の「惑星の存在が確認された恒星」を追加天体として「コンテンツ・ライブラリ」で公開しています。ステラナビゲータをご利用の方は、ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードしてください(記事中の恒星GJ 504は「おとめ座59番星」という名前で登録されています)。

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