若い星のまわりのスノーラインを初めて直接撮像

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【2013年7月22日 アルマ望遠鏡

アルマ望遠鏡による電波観測から、若い星を取り巻くガスと塵の円盤で一酸化炭素が凍る境界線(スノーライン)が初めて直接とらえられた。この境界線は、惑星の形成やその化学組成の起源を考えるうえでひじょうに重要な役割を持っている。


うみへび座TW星のまわりのN2H+分子の分布

うみへび座TW星のまわりのN2H+分子の分布。その内縁が一酸化炭素のスノーラインを示す。太陽系の海王星の軌道(青い円)くらいの距離だ。クリックで拡大(提供:Karin Oberg, Harvard/University of Virginia)

アルマ望遠鏡の観測により、175光年彼方のうみへび座TW星(以下TW星)のまわりで一酸化炭素が凍る境界線(スノーライン)が初めて写し出された。一酸化炭素が凍りつく場所にしか存在しないN2H+という分子が出す電波を観測し、その分布をとらえたのだ()。

「結果にとても興奮しています。私たちの太陽系の若かりし頃を知る、大きな手掛かりになるのです」(ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのチュンファ・チーさん)。

太陽が生まれて数百万年後の姿に近いと考えられているTW星の周囲には、惑星の材料になり得る多種多様な分子を含んだガスや固体微粒子が円盤状に広がっている。こうした円盤の中では、中心星からの距離に応じて水や二酸化炭素などがそれぞれのスノーラインを境に凍りはじめ、材料に応じて異なるタイプの惑星が形成されると考えられる。

たとえば、水が凍らない場所では、固体微粒子だけが合体成長して地球のような岩石惑星ができるし、一酸化炭素が凍るところでは、様々な物質の氷が大量に取り込まれるため、天王星や海王星のような巨大氷惑星が作られる。スノーラインは、惑星の形成にとても重要な役割を果たしているようなのだ。

また一酸化炭素の氷は、生命の素になる複雑な有機分子の材料となるメタノールの合成に欠かせない物質であることから、そのスノーラインは生命の起源を考えるうえでも意義があると共同研究者のカリン・ウーベルさん(ハーバード大学/バージニア大学)は指摘している。

研究チームでは、アルマ望遠鏡を用いて今後いろいろな物質のスノーラインを明らかにすることで、惑星の形成と進化をさらに詳しく調べることができるだろうと期待を寄せている。

注:「N2H+と一酸化炭素の分布」 N2H+は一酸化炭素と化学反応を起こしやすいため、一酸化炭素が凍りついて化学反応を起こさない場所にしか存在しない。