軟X線が強いX線源を「MAXI」が発見

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【2012年6月11日 MAXIサイエンスニュース

5月31日(世界時)にわし座方向に現れた新しいX線源を、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟の観測装置「MAXI」がとらえた。低エネルギーのX線(軟X線)を強く放射しているのが特徴で、中性子星かブラックホールかはまだわかっていない。


MAXIが観測したX線新星

低エネルギーX線でとらえた新星周辺(左)と、高エネルギーX線でとらえた同一領域(右)。左の画像では中央に新星がはっきり写っているが、右の画像では、確認できないほど弱いことがわかる。クリックで拡大(提供:発表資料より。以下同)

低エネルギーX線で見た新星の明るさの変化

低エネルギーX線で見た新星の明るさの変化。今でも増光しつつある。クリックで拡大

国際宇宙ステーション(ISS)に設置された全天X線監視装置「MAXI」が、わし座方向のX線新星を発見した。MAXIによる8個目の発見となる。アメリカのガンマ線観測衛星「スウィフト」もほぼ同時に発見・報告し、この天体は「MAXI J1910-057/Swift J1910.2-0546」と名付けられた。PTFによる追加観測から、Rバンド(赤色の波長帯)で15.9等の明るさであることがわかった。

この新星は低エネルギーのX線バンドで強く、発見以来現在も増光している。6月5日の時点で2-4KeV(キロ電子ボルト)の低エネルギーX線では、かに星雲のX線放射強度の約70%になっていた。ところが、10-20KeVの高エネルギーX線では2%しかなかったという。

この新星のように低エネルギーにX線放射が集中している天体は珍しく、電波や赤外線など、さまざまな波長での観測が行われている。低エネルギーX線の長期観測が可能な唯一の観測装置であるMAXIのデータは貴重だ。今のところ、この新星が中性子星かブラックホールかはまだわかっていない。