どう見る? 金星の太陽面通過 楽しみ方直前ガイド

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【2012年6月4日 特集「金星の太陽面通過」

あと2日に迫った金星の太陽面通過。日食の時はつながるリングを見ながらみんなで盛り上がったけど、今回はどのタイミングで、どう見ればいいの? 学生も、忙しくお勤めの人も気軽に楽しめる、ほぼ130年に2度の特別な日のすごし方をわかりやすくご提案します。


6月5日(前日)までに

安全に見る情報や時間をチェック
観察の注意点について、天文ニュース「6日の『金星の太陽面通過』を安全に見よう!」で必ずチェックしておきましょう
「日食(太陽観察用)めがね」を準備
日食観察に使った「日食めがね」(その他日食観察プレートなど直視による観察道具全般)で観察することができます。金星像はとても小さいですが、自身でもそれなりに光っている太陽黒点と違い、はっきりとした黒色をしています。ただ、太陽の輪郭がぼやけて見えるような「日食めがね」を使った場合や視力に自信のない人の場合は、見えにくいかもしれません

お休みが取れる人は、観望会に参加するのもおすすめ。望遠鏡で投影した大きな太陽像を観察できます。
→ パオナビ:「金星の太陽面通過」観望イベント情報

6月6日

いよいよ当日です。6時間以上にもおよぶ現象なので、日食のように刻々と見え方が大きく変わることはありません。時間のできたときに少しずつ見て、金星が太陽面を移動していく様子を確かめてみましょう。

※以下の見え方は東京での様子を表しており、囲み内の太陽は天頂方向が上になるように描いています。

7時30分 朝起きたら観察
7時30分ごろの見えかた 朝起きたら、太陽面に入り込む金星を見てみましょう。金星像が太陽面にかかるのは7時10分ごろですが、小さな金星像が完全に太陽面に入るのは7時28分前後になります(各地の現象の時刻は特集のタイムテーブルで確認してください)。忙しい朝にちょっと見てみたい場合は7時30分ごろが確実かも。
太陽と金星を見て朝ごはんを食べたら、観察道具を忘れずに持って学校や会社へ。
10時30分 ひと息ついでに観察
10時30分ごろの見えかた 金星が太陽面にもっとも深く入り込むのは10時30分ごろ。午前中にひと息入れるついでに、どれだけ移動したかを確かめてみましょう。
12時00分 昼食のついでに観察
正午ごろの見えかた 昼ごはんに出かけるついでに、学生の方はお昼休みに、日食めがねで楽しみましょう。時間があるからといってじっと見続けるのは目に良くありません。また、テレビのニュースなどでも映像が紹介されるかもしれません。
13時20分 昼下がりに見おさめ観察
13時20分ごろの見えかた 午後1時30分ごろ金星と太陽の外縁が重なり、1時47分ごろに完全に太陽面を脱出します。まばゆい光のヴェールを脱ぎ捨てたヴィーナスのシルエットは、105年後の2117年まで見おさめです(少なくとも地球からは)。

太陽系のスケールを感じながら見てみよう

金環食のように劇的な瞬間もなく、太陽が大きく欠けるわけでもない。ぱっと見地味な「金星の太陽面通過」ですが、地球のすぐそばにある衛星の月ではなく、隣の惑星である金星を見ながら太陽系のスケールを感じるチャンスです。光る球の表面に浮かぶように見える小さな黒い点がどのような意味を持つか、そのヒントとなる情報を紹介します。

小さく見える金星、実は地球と同サイズ
金星は直径も質量も地球と似たようなサイズで、太陽系の中で隣同士の軌道を回っています。
遠くに見える金星、実は地球の方に近い
大きな太陽のすぐ前を通っているように見える金星、実は地球までの距離の方が太陽よりもずっと近いのです。現象時の地球〜金星の距離は、太陽〜金星の3分の1。縮尺してたとえると、太陽は105m先にある直径1.16mの球、金星は36mの距離にある1cmの球ということになります。
「太陽面通過」のフシギ
金星の太陽面通過とともに、「水星の太陽面通過」という現象もあります。前回は2006年11月9日、次回は2032年です。火星や木星といったほかの惑星では決して見られません