ロシアの火星探査機「フォボス・グルント」がチリ沖に落下

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【2012年1月16日 RussianSpaceWebUniverse Today

1月15日(日本時間16日未明)、11月の打ち上げ後に火星に向かう軌道に乗れず地球周回軌道に留まっていたロシアの火星探査機「フォボス・グルント」がチリ沖の太平洋に落下した。被害などは報告されていないようだ。


1月15日午後9時45分ごろ(モスクワ時間。日本時間16日未明3時ごろ)、ロシアの火星探査機「フォボス・グルント」が地球の大気圏に突入し太平洋に落下した。

同探査機は1996年以来となるロシアの火星探査機として、火星の衛星フォボスの地表物質を持ち帰る使命を帯びていた。また、中国初の火星探査機「蛍火1号」も同乗して火星へと向かうはずであった。だが11月9日の打ち上げの際、エンジンの不具合で火星に向かう軌道に移行できず、地球周回軌道を回り続けることになってしまった。大気の摩擦により徐々に高度が下がるなか、火星に向かう軌道への復旧が試みられていたが失敗し、ロシア連邦宇宙庁から15日中に地球に落下する見込みが発表されていた。

ロシア国防省のAlexei Zolotukhin氏によれば、破片が残っていれば落下地点はチリ南部沖1250kmとのことだが、実際の状況は今のところ確認されていない。

同探査機はジメチルヒドラジンや四酸化二窒素といった有毒な推進剤を7.5t積んでいたが、エンジンの不具合により使用されずに残っており、落下の際に機体とともに燃え尽きたと思われる。