これまでで最も正確な近傍銀河の3次元地図が完成

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【2011年6月1日 CfA Press Release

イギリスの研究グループによって3億8000万光年より内側にある銀河の正確な3次元地図が作成された。通常2次元で得られる地図に距離の情報を付け加えて3次元に拡張したものだ。


(3次元の地図)

3次元の地図。赤い点が地球から見て遠くに、青い点が近くにある銀河であることを表す。クリックで拡大(提供:T.H. Jarrett (IPAC/SSC))

近傍の天体がどのように分布しているか、2次元の地図を作成するのはそれほど難しいことではないが、3次元の地図となると天体までの距離が必要となるため、非常に大変な作業となる。

このような3次元地図を作成する作業がアメリカのホプキンス山にあるローレンス・ウィップル天文台とチリのセロ・トロロ天文台の望遠鏡を使って行われ、10年以上の歳月をかけて3億8000万光年より内側にある銀河の観測が完了した。2MASSというサーベイ観測によって得られた2次元地図をもとに、赤方偏移を観測して天体までの距離を調べる2MRSサーベイ観測を行い、3次元の地図としたものだ。

2MRSでは、3つの近赤外線の波長域で観測することによって、可視光線よりもより広い領域を見ることができた。従来の地図では天の川銀河の銀河面に近い領域は塵に隠されていたが、こういった部分の銀河も地図に含めることができたという特徴がある。天の川銀河が宇宙の中をどう動いているのかといったことを知る手がかりも得られそうである。

この地図の作成を主導していたJohn Huchra氏が亡くなって間もなくこの地図の作成のための観測が終了しており、氏に捧げる地図ともなっている。