史上最遠、132億光年かなた?の銀河を発見

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【2011年1月27日 firstgalaxies

ハッブル望遠鏡のデータから、観測史上最遠となる132億光年かなたに存在するとみられる銀河が見つかった。宇宙誕生から5、6億年後の銀河での星生成の加速も示されており、いよいよ銀河形成の初期にせまりつつあることを予感させる。


銀河「UDFj-39546284」

132億光年かなたとみられる銀河「UDFj-39546284」。クリックで、周辺領域からの拡大画像を表示(提供:G. Illingworth (University of California, Santa Cruz), R. Bouwens (University of California, Santa Cruz, and Leiden University), and the HUDF09 Team)

Garth Illingworth氏(米・カリフォルニア大学サンタクルス校)らの研究チームが、132億光年先に存在するとみられる銀河を発見した。これは今までの記録を1億5000万光年上回る最遠のもので、ビッグバンからたった4億8000万年後までさかのぼった宇宙の姿だ。

発見された「UDFj-39546284」は、誕生から1、2億年の若い星が集まった小型の銀河で、天の川銀河の100分の1ほどの大きさだ。

生まれたばかりの宇宙は人間の赤ん坊と同じように成長がとても速かったと考えられているが、この銀河と約1億7000万年後の銀河を比較すると、銀河内部で星が作られるスピードが10倍にまで加速していることもわかった。Illingworth氏は「もう少し過去にさかのぼって見ることができれば、何かもっと劇的な変化の様子をとらえることができるかもしれない。今回の観測結果はそう予感させてくれます」と期待する。

宇宙誕生直後の銀河の進化の過程はまだよくわかっていない。胚細胞が進化していくような、銀河形成の将来を決定づける劇的な変化の時期があったのではと天文学者達は考えている。宇宙誕生から2、3億年後とされる初の銀河誕生の瞬間に到達するまで、あと少しだ。

この発見は、2009年5月のハッブル修理ミッションで新しく搭載された赤外線カメラ「WFC3」が2009〜2010年に撮影したデータからもたらされた。銀河までの距離は、遠くの銀河ほど地球に届く光の波長が引き伸ばされる「赤方偏移」の程度から測定する。「UDFj-39546284」の赤方偏移は今までで最大の「z〜10」だ。ただし、スペクトル分析を行うにはあまりに暗すぎるため、距離の確定は、2014年に打ち上げ予定のハッブルの後継機「ジェイムズ・ウェブ宇宙望遠鏡(JWST)」による観測を待つことになる。

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