暗い銀河での超新星出現 岡山・美星天文台が貴重な発見に貢献

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【2011年1月17日 VSOLJニュース(263)】

アメリカのチームが発見した天体が、岡山の美星天文台の分光観測により、星の少ない銀河に出現した超新星であると確認された。貴重な学術サンプルとして期待されている。また、国際天文連合では突発天体の発見・確認の即時情報交換ページを公開した。


VSOLJニュースより(263)

著者:山岡均さん(九大理)

超新星は、星が生涯を終えるときの大爆発です。したがって、星が多い場所のほうが数が多く、超新星探しを目指す人は、星の大集団である銀河をひとつひとつ撮影して、前回の撮影では見当たらなかった光点が出現しているかどうかをチェックするのが常道です。しかし近年、広い視野を監視する捜索システムが稼働し、母銀河がはっきりしないところに現れる超新星が捉えられることが増えてきました。今回の超新星2011Kは、そのようなものの一例です。

超新星2011Kは、カタリナ即時突発天体サーベイ(CRTS)チームが発見したものです。このチームは、地球接近小惑星を捉えるのを主目的として撮影された画像から、変動天体や突発天体を検出しています。位置は赤経4時45分30.38秒、赤緯-7度20分52.7秒(2000年分点)です。発見の日時は1月13.19日(世界時、以下同様)、発見時に15.1等級と、超新星だとするとまずまず明るいものですが、この近辺には明るい銀河はありません。過去画像をよくよく見ると、19等ほどの広がった天体がありますが、母銀河かどうかははっきりしません。

岡山県の美星天文台で13.6日にこの天体の分光観測が行われ、天体がIa型の超新星であり、極大の数日前であることが明らかになりました。超新星が標準的な速度で膨張していると仮定すると、超新星までの距離は70Mpcほどとなり、発見時の明るさは典型的なIa型超新星のものと考えて話が合います。とすると、母銀河は19等以下、つまり絶対等級が-15等以下の暗いもので、星の数は銀河系の1/100以下と、かなり少ないと考えられます。このような、星の少ない銀河に出現する超新星は、貴重な学術的サンプルになると期待され、今後が注目されます。

なお、2011年から国際天文学連合(IAU)の天文電報中央局(CBAT)は、超新星など太陽系外の突発天体の発見や確認、分光観測の情報を取り扱うWebページを開設しました。登録した観測者は、発見/確認/分光観測の情報を投稿でき、即時の情報交換が可能になっています。これにともない、超新星の符号は、分光確認がされた後に付与されることとなりました。詳しくは天文電報中央局の突発天体確認ページを参照してください。


超新星2011Kの位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。

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