系外惑星研究の新たなターゲットは、大質量星

【2010年1月13日 CfA

太陽質量の2倍から15倍ほどの恒星500個の観測で、約50個の恒星のまわりにちりの円盤の存在が示された。さらに、そのうち15個の円盤では、木星のほどの惑星が生まれていることが示唆された。


(大質量星を取り巻く円盤で進む、木星サイズの惑星形成の想像図)

大質量星を取り巻く円盤で進む、木星サイズの惑星形成の想像図。クリックで拡大(提供:David A. Aguilar, CfA)

米・ハーバードスミソニアン物理研究所の研究チームは、NASAの赤外線天文衛星スピッツァーと地上からの赤外線観測でカシオペヤ座の方向約7500光年にあるW5と呼ばれる星形成領域を調べ、質量が太陽の2倍から15倍ほどの恒星約500個を観測した。

その結果、約10個に1個の割合、つまり約50個の星で、ちりの円盤に由来すると思われる赤外線がとらえられた。さらに15個の円盤で、内側にちりの存在しない領域がある可能性が示された。木星サイズの惑星がちりを吸い寄せしまったのかもしれない。

アメリカ国立光学天文台(NOAO)のLori Allen氏は、「木星サイズの惑星の重力なら、円盤の内側約10〜20天文単位(1天文単位は地球と太陽との平均距離で約1億5000万km)の範囲にあるちりを、わたしたちの観測結果のようにきれいに掃除してしまえるはずです」と話している。

観測されたような大質量の恒星のまわりにおける惑星形成は、まさに時間との戦いである。たとえ円盤が大きく惑星の材料が豊富にあったとしても、恒星からの強い放射によって、急速に破壊が進むからだ。実際、W5に存在する星の年齢は約200万から500万歳ほどで、そのほとんどがすでに惑星を形成する材料を失っている。

当然、なんらかの生命体が存在する可能性は望めない。質量が太陽の2倍から15倍ほどの恒星の一生は、1000万から5億年ほどしかない。一方、地球上で生命が誕生してから現在われわれが見るような多様な生物が誕生するまでには、約35億年も要した。

Koenig氏は「これらの星のまわりは生命探しには向きませんが、惑星形成に関する理解を深めるための新たな手段を与えてくれます」とコメントしている。

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