もっとも小さな太陽系外縁天体を発見

【2009年12月28日 HubbleSite

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)による観測で、これまででもっとも小さい、直径1km足らずの太陽系外縁天体が発見された。


検出された太陽系外縁天体の想像図

HSTが検出した太陽系外縁天体の想像図。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, and G. Bacon (STScI))

食によって、恒星の明るさに変化が見られるしくみ

食によって、恒星の明るさに変化が見られるしくみ。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, and A. Feild (STScI))

海王星よりさらに遠い太陽系の外側には、リング状の領域であるエッジワースカイパーベルトがあり、そこには太陽系外縁天体と呼ばれる氷を主な成分とする小さな天体が数多く存在している。

(天体表面から放たれる反射光によって)発見された太陽系外縁天体としては、これまで直径約50kmが最小であったが、HSTがその約50分の1の大きさの天体を発見した。

見つかった天体の明るさは35等級と、HSTが直接とらえることのできる明るさより、100倍以上も暗い。発見は直接撮像によるものではない。研究チームは、天体が恒星の前を通り過ぎることで恒星が暗くなる現象を探した。また、その現象を通じて太陽系外縁天体を見つけるために、HSTに搭載されているファイン・ガイダンス・センサー(FGS)の観測データを選んだ。

FGSは、望遠鏡が目的の天体を導入し追尾できるように取り付けられている観測装置である。

研究チームは、HSTFGSを使って4年半、延べ1万2000時間をかけて観測した5万個ものガイド星のデータを分析し、その中から0.3秒の減光を発見した。

続いて研究チームは、恒星の前を通り過ぎた外縁天体が黄道面から14度傾いた円軌道を描いていると推測し、食の継続時間をもとに天体までの距離を計算、さらに恒星の明るさの変化から、外縁天体の大きさを計算した。

その結果、発見された外縁天体が約67億kmの距離にあり、直径約1km足らずであることがわかった。また、この発見によって、既存の天体が砕かれてできたような大きさの天体が太陽系外縁部に存在している証拠が、初めて実際の観測で得られることとなった。

なお、研究チームでは今後も外縁天体の発見を目指して、HSTが1990年以降蓄積してきた残るすべてのデータの分析を行う計画だという。