板垣さん、エリダヌス座に超新星を発見

【2009年8月26日 VSOLJニュース(220)】

山形県の板垣公一さんが、今年7個目となる超新星2009imをエリダヌス座のレンズ状銀河NGC 1355に発見された。


VSOLJニュースより

(著者:山岡均さん(九大理))

(超新星2009imの発見画像と2006年8月のNGC 1355の画像)

(左)超新星2009imの発見画像と(右)2006年10月のNGC 1355の画像。クリックで拡大(提供:板垣公一氏)

(遊佐徹氏撮影の確認画像)

遊佐徹氏撮影の確認画像。クリックで拡大(提供:遊佐徹氏)

残暑厳しいとはいえ、秋分も間近となり、徐々に夜も長くなってきました。観測時間が長く取れ、一晩で観測できる空の範囲も広くなるため、天体発見も増えてくるかもしれません。その皮切りでしょうか、山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんが、エリダヌス座の方向に、超新星を発見しました。エリダヌス座と言えば冬の星座ですが、明け方にはじゅうぶん観測できるほど昇ってきています。

板垣さんは、24.73日(世界時、以下同様)に撮影した画像上で、15.6等の明るさの新天体に気づきました。新天体の位置は、で、母銀河であるNGC 1355の中心から西に21秒角、南に2秒角弱のところにあたります。

宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさとおる)さんは、25.65日にオーストラリアのリモート望遠鏡を用いてこの天体を確認しています。新天体には、超新星2009imの符号がつけられました。

  赤経  3時33分22.07秒
  赤緯 -4度59分56.4 秒 (2000年分点)
  NGC 1355の周辺星図と、DSS画像に表示した超新星

NGC 1355はレンズ状銀河と呼ばれる形状をしています。レンズ状銀河は、楕円銀河と同様、星生成が不活発な銀河であると考えられています。したがって超新星2009imは、寿命が短い大質量星が起源となる「重力崩壊型」ではなく、星の誕生から爆発までに時間がかかる「核爆発型」の超新星ではないかと考えられます。今後、分光によるタイプ判別や、光度変化の追跡が楽しみです。


超新星2009imの位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。

また、新しいデータや番組を入手できる「コンテンツ・ライブラリ」では、簡単にダウンロードして星図に一覧表示できる「板垣さんが発見された超新星」と「日本人が発見した超新星」も公開しています。あわせてお楽しみください。

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