112番元素にコペルニクスに因んだ名前を提案

【2009年7月16日 GSI Helmholtzzentrum für Schwerionenforschung

1996年に独・重イオン科学研究所で初めて合成された112番元素の名前に、天文学者コペルニクスに因んだ「Copernicium」が提案された。


(独・重イオン科学研究所の加速器)

112番元素を始めて合成した、独・重イオン科学研究所の加速器(提供:GSI Helmholtzzentrum für Schwerionenforschung)

112番元素は、1996年に独・重イオン科学研究所の加速器で初めて合成された。しかし、新元素としての認定に必要な再実験と検証がじゅうぶんでなかったため、暫定名「ウンウンビウム」がつけられていた。その後2007年に、理化学研究所の仁科加速器研究センターで原子番号30の亜鉛(Zn)原子核を原子番号82の鉛(Pb)の原子核に衝突させる実験が実施され、合成された112番元素の観測に成功した。

このような経緯を経て、国際純正応用化学連合(IUPAC)は数週間ほど前に、112番元素を正式に新元素と認定したことを発表した。

この発表を受けて、112番元素の合成に成功した研究チームでは、元素名にポーランドの天文学者で地動説を唱えたコペルニクスに因んだ「Copernicium(コペルニシウム)」を提案した。

研究チームのSigurd Hofman教授は、「新元素の認定を受けて、私たち研究に携わった研究者は、112番元素の名称をCoperniciumとすることで意見が一致しました。人類の世界観を変えた傑出した学者に敬意を表したいのです」と話している。なお、IUPACでは、約6か月以内に正式な元素名を決定する。

Coperniciumの由来であるコペルニクス(Copernicus, Nicolaus 1473-1543)は、 地球を中心とする古典的な宇宙観から、太陽を中心とする宇宙体系を提唱したポーランドの天文学者である。彼の地動説は、惑星の動きを担う重力の発見につながっただけでなく、空に見える星がひじょうに遠い距離に位置しており、宇宙が広大であることなどへの理解につながった。

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